「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」が2022年3月末のリニューアルに合わせ、初のテレビCMを放映した。元乃木坂46の白石麻衣と西野七瀬を起用し、商品の最大の特長と言える泡が出る部分にフォーカス。楽しさや高揚感を強調した。撮影はほぼカットを重ねずに収録したとのことだが、その理由とは。
泡が出てくるワクワク感を最重視
2021年4月、酒類取り扱いのコンビニエンスストアでの先行発売から2日後に、一時出荷停止を発表するほどの人気商品となった「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」。蓋が缶詰のように全開し、湧き立つ泡の様子はまるで生ビールのよう。この缶ビールの概念を覆す“仕掛け”で大反響を呼んだ。生ジョッキ缶の発売で「スーパードライ」ブランドの月間購入者は大幅に増加。20年4月~21年3月の1年間で累計1477万人だったのが、20年12月~21年11月では1902万人となった。
「蓋が全開して泡が湧き出てくる缶ビールは世界初。ユーザーからは『自然に泡が出るワクワク感は他の缶ビールでは体験できない』『家飲みが楽しくなった』といった声が多い」とヒットの要因を語るのは、アサヒビール マーケティング本部 宣伝部次長の佐藤猛博氏。泡立つ仕掛けが興味を引き、若い世代や女性などこれまでスーパードライに触れてこなかったユーザーにも受け入れられる機会が増えたという。
好調を継続すべく、アサヒビールは22年3月末からユーザーに好評なポイントをより際立たせるため、2種類のテレビCMを打った。3月29日の生ジョッキ缶リニューアル発売のタイミングに合わせ、同月26日にリニューアル発売を認知させる「世界初!生ジョッキ缶」編を、4月1日からはきめ細かい泡が発生する特長を前面に出した「めっちゃ、生ビール!」編を放映した。
CMには、元乃木坂46の白石麻衣と西野七瀬、そしてSexy Zoneの中島健人と菊池風磨を起用。それぞれ同じグループで活動経験のある2組がペアとなり、各2種類のCMに出演した。その中から、今回は白石と西野が出演するCMを見ていこう。
「世界初!生ジョッキ缶」編では、冒頭で蓋を開けると泡が湧き出るインサートが入り、続けて白石と西野が「何これ、アガるー!」とコメント。驚いたような表情で、テンションが高まる様子が伝わってくる。その後、コンビニの棚に生ジョッキ缶が並んでいるカットが入り、「新・生ジョッキ缶登場!」のテロップ。リニューアルし、生産量を拡大したことを告知する内容となっている。
それに対して「めっちゃ、生ビール!」編では、生ジョッキ缶の蓋を開けてから飲み終わるまでの様子を、臨場感たっぷりに描いた。まず缶からモコモコと発生する泡をアップで映し、白石と西野が「キタキタキター」と口にして、視聴者の期待感をあおる。その後、白石がビールをゴクゴクと飲み、スーパードライならではのキレや爽快感を堪能した表情で「くぅ~」と発し、「めっちゃ、生ビール!」と感想を述べる。同様の設定で、七瀬が「やっば!」とそのおいしさをアピールするCMも用意した。
2つのCMのポイントは、要となる「缶から泡が湧き出る」という特長だ。佐藤氏は「ユーザーから大きな反響を得られた部分を、素直にCMでも強調した」と語る。前述「泡が出るのが楽しい、ワクワクする」といったユーザーの反響を、まだ生ジョッキ缶に触れていないユーザーにも伝わるよう注力した。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー