2022年3月半ばの開設以来、週2~3回のペースでTikTok動画を投稿し、いきなり100万回再生を連発している“怪物”企業アカウントがある。恋活・婚活マッチングアプリ「tapple(タップル)」を運営する、サイバーエージェント子会社のタップル(東京・渋谷)のアカウント「@osakatsu_tapple」だ。果たしてどんな手を使ったのか。

タップルのTikTok企業アカウント
タップルのTikTok企業アカウント

 tapple(タップル)は、Z世代に人気の恋活・婚活マッチングアプリ。女性は無料で利用でき、男性は月額4000円(税込み、iOS/Android版の1カ月プランの場合)などの定額制だ。

 現役のユーザー数は約700万に上り、退会者を含めた累計ユーザー数は約1400万人にも及ぶ。特に、対面での出会いが制限された新型コロナウイルス禍でユーザー数が急増。新規登録ユーザー数は、多い月でコロナ禍前の180%を記録することもあるほどだ。

タップルのホームページ
タップルのホームページ

 若い世代に急速に浸透しているタップルだが、同社では「まだマッチングアプリをよく知らなかったり、使うのを躊躇(ちゅうちょ)していたりする若者も多い」と見ており、認知拡大のための施策に注力している。その一つが、TikTok上での取り組みだ。タップルはTikTokとユーザー層が重なっており、多くの広告を出稿することで恋愛に興味がある若者の獲得に成功するなど、一定の成果を出してきた。

 だが、課題もあった。恋愛に現時点ではそれほど興味を示していない潜在顧客の掘り起こしだ。こうした層には広告を打っても届きにくく、前段階として、まずは恋愛への憧れや関心を高める施策が重要になる。そこで同社は、21年6月からTikTokの企業アカウントを開設し、デートに使えるグルメの店を紹介する動画などを、ほぼ毎日投稿していた。

 ところが、だ。再生回数は多い投稿でも数千に留まるなど、期待していた結果にはほど遠かった。「そもそも、グルメの投稿はTikTokではありふれたコンテンツであり、テーマ決めが安易だった。運用部分でもノウハウがなく、あまり考えずに見切り発車したのが失敗の要因」(タップル)

 このまま運営しても、再生回数もフォロワー数も伸びる見通しは立たない。そう判断した同社は22年2月、いったん企業アカウントの停止に踏み切る。専門家の手を借りて、出直す決心をしたのだ。

 支援を頼んだのが、「Z世代の企画屋さん」を標榜する僕と私と(東京・渋谷)の今瀧健登CEO(最高経営責任者)。今瀧氏はタップルの依頼を受け、早速、TikTokでバズる動画を作るため、自身も含め、社員全員がZ世代である自社で制作チームを始動させた。

TikTokで大失敗、Z世代が編み出したバズる動画とは?

 今瀧氏は、タップル社長の飯塚勇太氏と面会し、最初に企業アカウント運用の狙いを率直に聞いた。単に投稿する動画をバズらせるだけでなく、それがタップルの意図する目的と合致しなければ意味はないからだ。

 すると、飯塚氏は端的に「恋愛総量を上げる」という課題設定をした。つまり、恋愛をしたくなる母数がTikTokユーザーの中で増えれば、同社が投下する広告への反応率も向上し、タップルの利用者数も増えていくというのが、描いたシナリオだった。

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