東急ハンズがPB(プライベートブランド)商品「Hand Marks(ハンドマークス)」を強化している。2022年3月に新商品を発表し、鉄フライパン用のブラシや端材を集めただけの商品など約30種類を投入。新型コロナウイルス禍における生活者の意識の変化にも合わせ、独自の視点でSDGs(持続可能な開発目標)につながるさまざまな商品を開発し、ヒット商品が生まれ始めている。
Hand Marksは、「もっと、ものを育てよう。」をコンセプトに商品開発を行う東急ハンズのPB商品。2021年にPB商品「ハンズオリジナル」で取り扱っていた商品の一部をリブランディングする形で立ち上げた。Hand Marksというネーミングは、従業員アンケートの結果投票数の多かったものから選んだ。「東急ハンズ(hands)のブランド」であるということ、「自分の手のあと(Hand Marks)がついたモノを大切にすること」にちなんでいる。
国内の各地にある中小規模のメーカーや高い技術を持った職人によって作られた素材や製品にスポットを当て、生活者にとっても安心安全で愛着を持って長く使えるアイテムを目指して開発する。
21年にPBをリブランディングして以降、調理器具や生活雑貨などを中心に商品数を増やしてきた。リブランディング前後のそれぞれ2カ月間を比較して約1.4倍の売り上げを記録した「使うほど育っていく一生モノの鉄フライパン(以下、鉄フライパン)」といった人気商品も現れている。
22年3月には新シリーズを含む商品を市場に投入。本来は廃棄されてしまう素材を集めた「端材シリーズ」などを発売し、展開商品数は16シリーズ、60種類に達した。新商品の投入に合わせてHand MarksのWebサイトをリニューアル。新たに開設したページではHand Marksの開発背景などを伝え、「ものと暮らす」を新たな視点で提案している。
スポンジやろうそく、革製品の端材を再活用する
新しい端材シリーズは、全国のメーカーの工場から生産の過程で出る食器用洗浄スポンジやろうそく、革製品の端材を集めて袋に詰め合わせたものだ。スポンジ、ろうそく、付箋など7種類の商品がある。東急ハンズの商品戦略部PB開発グループユニットリーダーの塚本邦大氏は、「もともと素材に強く、創業当時からクラフトやDIYを提供価値としてきた。企業のブランド価値ともつながる商品だと思う」と意気込む。
端材シリーズをつくった理由は、東急ハンズはメーカーとの付き合いが多く、頻繁に工場などの生産現場に足を運んでいるうちに「作る過程で捨てられる素材が多い」と分かったからだ。「もったいないのでお客さんに届けられないかという発想で開発した」(塚本氏)
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