Z世代の多くには「推し」がいるといわれる。もはや「推し活」や「ヲタ活」は当たり前の行動で、消費にも影響を及ぼしている。しかし、そもそも「推し活」と「趣味」の違いは何なのか。そして、上の世代は推し活にどう向き合えばよいか。今回は、推し活の実態について、Z世代を研究するZ総研とマイナビ転職の共同調査や、現役Z世代へのヒアリングを基に、Z総研分析担当が解説する。
実際、推しがいる人はどの程度いるのかZ世代にアンケートを取ったところ、驚くべき結果が出ました。
アンケートで「推しはいますか?」と尋ねたところ、実に93.7%が「はい」と回答したのです。ほとんどのZ世代に推しがいることが分かりました。さらに深掘りするために、今回は上記の調査に併せて、Z総研のリアルZ世代メンバーとマイナビ転職のZ世代社員、合計8人による座談会をオンラインで開催。推し活についてざっくばらんに語り合いました(掲載している学年や社会人年次は、22年2月の座談会開催時のもの)。
集まったZ世代8人のうち、推しがいると答えたのは7人。推しの対象は、YouTuber、TikToker、お笑い芸人、アイドル、漫画、アニメ、ゲーム、スポーツなど、同年代とはいえ多様なジャンルに広がっていました。
では、そもそも「推し」の定義とはどのようなものなのでしょうか。聞いてみたところ、2つのポイントが浮かび上がってきました。1つ目は、「そのジャンルの中で1番好きなもの」が推しだとする意見です。以下が、Z世代の生の声です。
「その漫画に出てくるキャラクターが登場するとうれしいと感じるのが推し」(大学1年生・女性)
「アイドルや人に限らず、コスメのブランドなど好きなモノが推しになる」(社会人1年目・女性)
人物に限らず、自分の趣味分野の中で最も好きなもの、見ると“沸くもの”(興奮するもの)を、推しと定義しているようです。
2つ目は「自分ごと化できる存在」だということです。
「スポーツチームだったら勝ったらうれしい、負けたら悔しいって思えるのが推し。そう思えるか思えないかで、推しかそうじゃないかが決まってくると思う。自分に置き換えられる存在かどうかが大事」(社会人4年目・男性)
「グッズを買ったり会いに行ったりすることで、自分がサポートしてあげたい、育ててあげたいと思えるのが推し」(社会人1年目・女性)
「時間を割いて見たり、会いに行ったりしたくなったら推し」(社会人2年目・男性)
「自分のお金や時間を割いても惜しくないものが推し。スマホでそのキャラのことを調べたりすることが煩わしく感じないのも推しなのかもしれない」(大学2年生・男性)
自分の大切なモノを多少犠牲にしてでも、その人物やキャラにお金や労力を使いたいと思える存在のようです。彼ら・彼女らにとって、推しが大きな心の支えになっていることが分かります。
推し活の年間消費額は、3万円を超える人が4割以上に
では、Z世代は実際にどのくらいの時間とお金を推しに使っているのでしょうか。また、Z総研とマイナビ転職との共同調査の結果を見ていきたいと思います。
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