使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー」を展開するジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケア カンパニー(東京・千代田)が、抗アレルギー薬を配合したコンタクトレンズ「ワンデー アキュビュー セラビジョン アレルケア」を、2022年1月から全国で発売した。抗アレルギー薬を配合したコンタクトレンズの市販は同製品が世界初だという。21年10月に一部地域で先行発売したところ、処方した医師に多くの患者が継続使用の意向を伝えているそうだ。
30周年の年にアレルケア先行発売
ジョンソン・エンド・ジョンソン ビジョンケア カンパニー(以下、J&J ビジョンケア カンパニー)は世界60カ国に250以上のグループ企業を有する米ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人グループの1つ。グループでは消費者向け製品をはじめ、医療機器、医薬品などを販売しており、中でもJ&J ビジョンケア カンパニーでは使い捨てコンタクトレンズ製品の輸入・販売を行っている。
「1991年10月に国内で初めて使い捨てコンタクトレンズ、アキュビューを発売して以来、様々なアンメットニーズ(潜在的な要求・需要)に対応する製品を展開してきた」(同社コミュニケーションズ&パブリック アフェアーズの相澤麻衣子氏)。ジョンソン・エンド・ジョンソンの製品は、「我が信条(Our Credo)」という全世界・グループ共通の企業理念に基づき、また科学的な知見や技術を活用して開発されている。
J&J ビジョンケア カンパニーでは、これまで近視補正の使い捨てコンタクトレンズ「ワンデー アキュビュー オアシス」(1日使い捨てタイプ)や、日々の様々な光に自動で対応する「アキュビュー オアシス トランジションズ スマート調光」(2週間交換タイプ)、遠近両用タイプの「ワンデー アキュビュー モイスト マルチフォーカル」など、幅広い世代に対応するソリューションを展開している。
21年10月に先行発売され、22年1月から全国の店舗で販売を始めた新製品のワンデー アキュビュー セラビジョン アレルケア(以下、アレルケア)は、基礎疾患としてアレルギー性結膜炎を有していても、コンタクトレンズを使い続けたいと望む人のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)維持向上を狙って開発された。症状を起こりにくくする抗アレルギー薬をコンタクトレンズに配合したのが特徴で、症状が起こる前から装用することで、症状緩和を目指すという。
装用者の半分がアレルギー
同社で製品学術を担当する植田誠子氏によれば、アレルケアは約20年前、米国本社で開発が始まった。「米国でも目のアレルギーでコンタクトレンズを使い続けられず、不満に思っている人が多い。そこにまだ満たされていないニーズがあると分かり開発が始まった。その際、日本はアレルギー大国なのでぜひ展開したいと希望した」と植田氏。
日本ではスギ花粉(関東では主に2月上旬から4月上旬に飛散量が多くなる)およびヒノキ花粉(関東では主に3月中旬から4月いっぱい飛散量が多くなる)の花粉症により、アレルギー性結膜炎を発症する人が多い。人口あたりの花粉症有病率は1998年が19.6%、2008年が29.8%、19年には42.5%と、10年ごとに約10%増加。今や2人に1人は花粉症で、中でもスギ花粉症は38.8%とほぼ3人に1人(19年時点)と推定され、10代でのスギ花粉症も増加しているという(※1)。スギもヒノキもヒノキ科の植物で、スギ花粉症とヒノキ花粉症を併発する人も多いとされる。
J&J ビジョンケア カンパニーの調査によれば、そうした花粉症の人で週4日以上コンタクトレンズを装用している人は約1090万人に上り、さらにそのうちの約490万人、2人に1人がかゆみや充血などのアレルギーに悩んでいるという(※2)。
※1:「花粉症環境保健マニュアル2022」(環境省環境保健部環境安全課)
※2:アレルギー市場機会の精緻化に関する調査 第1段階 J&J調べ(2019)。なお、日本眼科学会によれば日本で日常的にコンタクトレンズを装用する人は、全国で1500万~1800万人と推定されている。
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