小規模事業者向けの自社ECサイト構築サービスとして成長を続けてきた「BASE」は2022年4月、売上規模が大きい事業者向けの新プランを提供する。実店舗を所有する個人や中小事業者をメインターゲットにする「STORES」も近年、大規模事業者の支援を強化している。背景にあるのは?
BASE、大規模事業者向け新プランを発表
これまで個人や中小企業など、小規模事業者をメインターゲットにしてきたASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)型の自社ECサイト構築システム「BASE」と「STORES」が、大規模事業者の支援強化を進めている。
BASEの利用者は、98.7%が4人以下でショップを運営するスモールチーム。そのため、これまではEC初心者でもリスクを下げながら新規参入できるよう、初期費用・月額費用は無料、商品が売れた場合のみ手数料(決済手数料3.6%+40円+サービス利用料3%)が発生する料金体系でショップ数、流通総額ともに拡大してきた。22年1月時点の開設ショップ数は170万件超、年間流通総額は1137億円(21年12月期)と初めて1000億円を突破。特にコロナ禍でのEC需要を受け、20年5月からの1年間で50万超のショップが新規に開設されるなど急成長している。
しかし、「個人運営だからといって、売り上げ規模が小さいという時代でもない」(BASE鶴岡裕太代表取締役CEO)ことから、売り上げ規模が大きくなったショップでも利用しやすい新プラン「グロースプラン」を22年4月から提供開始する。
グロースプランの料金体系は、決済手数料2.9%+月額サービス利用料5980円。EC売り上げが月額17万円を超えると、従来の料金プランよりも手数料が抑えられる。新プランに移行し、浮いたコストを商品開発や販促、仕入れなどに還元することで、ショップのさらなる成長が見込めるとBASEは説明する。
BASEがグロースプランの提供を開始した狙いは、2つある。1つは、既存事業者のつなぎとめだ。ある程度売上規模が大きくなった事業者は、手数料の問題などから、Shopify(ショッピファイ)をはじめ他社のECサイト構築システムに移行した方がメリットを出しやすかった。
Shopifyの最安プラン「ベーシックプラン」は、月額利用料29ドル(約3500円)+決済手数料3.4%(日本のオンラインクレジットカード手数料)で提供している。Shopify Japanは、月の売り上げが12万円を超えるとShopifyが最もコストを抑えられるとして、20年9月、明確なBASE対抗策を打ち出した。
BASEから商品情報、カテゴリー情報、注文情報を2時間程度でShopifyに移行できるツールの提供だ。同ツールを開発したGet It(東京・中央)によると、「毎月約100件ほどインストールされている」という。現在BASEをアクティブに利用するショップ数が6万2000店舗(21年10-12月期)であることを考えると、移行ツールを発表後、BASEからShopifyへ移行する事業者は増えつつあるようだ。
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