ソニーがイヤホンの新製品「LinkBuds(リンクバッズ)」を2022年2月25日に発売した。本体の真ん中には5円玉のように目立つ穴があいている。耳に装着して音楽などを再生している状態でも、周囲の環境音を入れながら聴けるように考慮された個性的なデザインだ。ソニーがこの「穴のあいたワイヤレスイヤホン」を企画・開発した意図を担当者に聞いた。
「ながら聴き」を好むZ世代のニーズに当てていく
LinkBudsはスマートフォンやノートPCにBluetoothで接続し、音楽や動画コンテンツが楽しめるワイヤレスイヤホンだ。マイクを内蔵しているので、ハンズフリー通話にも使える。外界からの音を減少させるノイズキャンセリング機能は搭載していない。そのアプローチとは逆に、本体中心にドーナツ状の穴をあけ、イヤホンを耳に装着した状態でも自然に外音が聞こえるのが特徴だ。
LinkBudsを企画したソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部 モバイルプロダクト事業部 モバイル商品企画部 統括部長の伊藤博史氏は、この“穴あきデザイン”の意図について、「ユーザーが音楽を聴いたり音声通話をしたりしながら、同時に音による様々な体験価値とリンクする(=つながる)イヤホンを提案したかった」と話す。
イヤホンを耳に装着したまま、仕事や散歩、家事やスポーツを音楽再生と一緒に楽しむリスニングスタイルは「ながら聴き」と呼ばれている。新型コロナウイルス禍の現在、リモートワーク時のコミュニケーション端末としてワイヤレスイヤホンを活用するユーザーが増えたことから、ながら聴きというスタイルに関心が集まった。
ソニーはこのながら聴きが、「Z世代」と呼ばれる若い世代の音楽ファンに多く受け入れられている傾向を、独自のマーケティング調査でつかんでいた。左右独立型の完全ワイヤレスイヤホン購入意識調査の結果によると、現在ソニーの製品を使っているユーザー、またはこれから購入を検討したいと答えた回答者の中に、「ながら聴きに便利」であることを購入条件に挙げるZ世代が多くいたという。
なぜZ世代は、ながら聴きに期待を寄せるのか。伊藤氏は次のように分析する。
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