AGCは、横浜市の研究施設内に建築した協創空間「AO(AGC OPEN SQUARE、アオ)」に「AGC Studio」の機能を2021年6月に集約。その後、オープンイノベーションによる新規プロジェクトが次々に生まれ、新しい価値の創造に向けて軌道に乗り出したことを明らかにした。「CONNECT(つなぐ)、CREATE(発想する)、MATERIALIZE(ためす)」といった業務サイクルを素早く回せるよう、AOの機能を再設計したことが奏功したようだ。
「AO」は、約200億円を投じて2020年に横浜市に造った「AGC横浜テクニカルセンター」内にある研究開発棟の一部。同社が手がける電子部材や化学品、セラミックスなどの素材分野で開発スピードの向上が求められ、「社内外にシームレス&融合・反応・協創の場」をコンセプトに新研究開発棟の建設に着手。分散していた基盤技術や新商品の開発といった機能を集約するほか、外部の企業や研究機関と協創できる空間も設けることで、新しい事業領域の開拓や新たな価値創造を実現しようとした。新たな価値を創り出すための「開かれた空間」を示すAGC OPEN SQUAREの頭文字からAOと名付けた。
東京・京橋にあった「AGC Studio」はクリエイターとの企画展やセミナーなどを開催していた施設で、協創の場やブランド発信拠点として運営してきた。自動車メーカーに所属するインテリアデザイナーとAGCの研究者が一緒になって作品をつくり、ガラスの魅力を紹介する「8.2秒展」を最後に、21年6月に閉鎖。協創の場としての役割をAOに受け継いだ格好だ。
AOでは協創活動が始まると案件ごとにプロジェクトルームを設置し、システムで入退室を管理する。新規プロジェクトの内容は明らかにしないが、14室あるプロジェクトルームは22年2月時点でほぼ使用されていた。それだけAGCにおけるオープンイノベーションが加速している。「8.2秒展」のプロジェクトルームはイベント後も継続して使用されており、今後も新しい価値を生み出しそうだ。
入ると巨大なインスタレーション
AOでは協創に向け、「つなぐ」「発想する」「ためす」という流れをベースにしている。外部の人とつなぎ、一緒にディスカッションして発想し、出てきたアイデアを試すことで、新しい価値を生み出そうとしている。このため、次の4つの施設を設置した。
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