コロナ禍による飲食業の苦境はさまざまな業界に波及している。その1つが貸しおしぼり業。そんななか、業界中堅のFSX(東京都国立市)は回収するおしぼりの枚数をAI(人工知能)でカウントするという新たな挑戦を始めた。「売り上げはコロナ禍前の4割程度まで落ち込んでいる」という同社が、なぜ今このチャレンジを始めたのか。

貸しおしぼり業界中堅のFSX(東京都国立市)は「回収するおしぼりをAI(人工知能)でカウントする」という新たなチャレンジを始めた
貸しおしぼり業界中堅のFSX(東京都国立市)は回収するおしぼりの枚数をAI(人工知能)でカウントするという新たなチャレンジを始めた

貸しおしぼり業の肝は「一に回収、二に回収」

 FSXは、データやAIを活用した経営コンサルティングを行う堺財経電算合同会社(東京・千代田)と共同で、回収ボックスに入っているおしぼりの枚数をスマホで撮影した画像から解析できる専用アプリ「おしぼりAI lite」を開発した。

アプリ「おしぼりAI lite」の使用イメージ。使い方はアプリをスマートフォンにインストールし、回収ボックスを撮影するだけ
アプリ「おしぼりAI lite」の使用イメージ。使い方はアプリをスマートフォンにインストールし、回収ボックスを撮影するだけ

 FSXの藤波克之社長は「貸しおしぼり業界の長年の問題が回収管理の難しさだった」と語る。「創業時から『この仕事は一に回収、二に回収』といわれていた」

 貸しおしぼり業は使用したおしぼりを回収し、洗浄して再納品するという循環によって成立している。しかし納品したおしぼりのおよそ5~7%が戻ってきていないのが現状。資源高騰の中、おしぼりの紛失がますます大きな問題となっているという。同社の調査では同業者の8割以上が「回収数の把握に問題を感じている」ことが分かった。

 「おしぼりが1枚なくなるくらい、どうってことはないのでは」と思うかもしれない。だが約6000店舗におしぼりをレンタルしているFSXを例にすると、1回収当たり1枚の紛失があるだけで、年間30万枚以上の追加投入が必要になる計算になる。これが貸しおしぼりのコストを押し上げる最大要因となっているのだ。逆に言えば、納品数と回収数の差を縮めることができれば、それだけコストを低減できることになる。同社の試算では総納品数に対して新たなタオルの投入数が1%減ると、売り上げの1.6%分のコストが減ることが分かっている。

性善説によるどんぶり勘定では限界

 単純に「回収時に枚数を正確に数えればいいのでは」と思うかもしれない。だが配送スタッフが1日に納品するおしぼりの数量はコロナ前の2019年3月で約20万枚、コロナ禍後の22年3月でも約14万枚で、回収も膨大な数量となる。都内の店舗では駐車できる時間も限られていることもあり、回収するおしぼりを1枚ずつ数えるのは手間と時間の問題などで不可能だという。

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