「自動運転バスは雪道を走れるのか」。降雪時の課題を検証するための実証実験が、2021年12月に北海道上士幌町で行われた。実施したのは、ソフトバンク子会社のBOLDLY(ボードリー、東京・港)。「本来、雪道は想定していない」という仏Navya(ナビヤ)製の自動運転バスを雪道で実際に走行させ、見えてきた課題とは。

2021年12月の雪道走行テストの模様
2021年12月の雪道走行テストの模様

 過疎化、高齢化が進む地域の住民の足として期待されている自動運転バス。BOLDLY(ボードリー、東京・港)をはじめとして多くの事業者が全国各地で実証実験を行っている。

 そんな自動運転バスの課題の一つが、気象条件だ。人間同様、自動運転も大雨や雪といった悪条件で走行するのは簡単ではない。しかし、「少し雪が降ったら運休」では公共交通としては力不足だ。

 特に、日本は世界でも有数の豪雪国。国土の半分以上が豪雪地帯に指定されており、そこで約2000万人もの人々が暮らしている。地方の足となる交通手段を目指すには、雪道走行は欠かせない。

 そこでBOLDLYは、雪や氷点下といった環境下で安全に自動運転バスを運行するためのノウハウ蓄積を目的として、冬の北海道上士幌町で実証実験を行った。使用した車両は同社が各地の実証実験で使用している仏Navya(ナビヤ)の「NAVYA ARMA(ナビヤアルマ)」。ハンドルがない自動運転用の電動バスで、本来、雪道走行は想定されていないという。今回はスタッドレスタイヤを装着して走行した。

 2021年12月15日から5日間にわたって北海道の中央付近にある上士幌町で走行させ、積雪や氷点下の気温による影響や課題を検証した。なお、BOLDLYは過去3回、上士幌町で自動運転バスを運行しているが、冬季の走行は今回が初めてだ。

上士幌町のシェアオフィスや交通ターミナルなどを結んだ
上士幌町のシェアオフィスや交通ターミナルなどを結んだ
初めてヘッドライトを点灯して夜間走行も行った
初めてヘッドライトを点灯して夜間走行も行った

 走行したのは、上士幌町の交通ターミナルや道の駅、シェアオフィスなど6カ所の停留所を結ぶ、往復6.4キロメートルのコース。最高時速20キロメートルで、片道20分の道のりとなる。午前8時台から日没後の午後6時台まで、夜間走行を含めて1日20便の運行計画でスタートした。

積雪は問題なし、降雪時に課題

 実証実験を開始した12月15日時点では積雪がなかった。しかし、3日目の12月17日に降雪があり、道路が雪で覆われ、最大5センチメートル積もる状況となった。上士幌町では除雪車が出動するのは10センチメートル以上の積雪があったとき。このため、今回の降雪では道路の除雪は行われず、雪が積もったままでの走行となった。

 では、検証結果はどうだったのか。

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