新型コロナウイルス禍が長引き、日常となったマスク生活。顔の一部が隠れている時間を美容に充てようと、歯科矯正や美容整形に取り組む人が増えている。「マスクの下でこっそり行われている美容」トレンドをいち早く捉え、利用を拡大させているのが、マウスピース歯科矯正サービスを提供するOh my teeth(東京・渋谷)と、美容医療口コミ・予約アプリを運営するトリビュー(東京・渋谷)だ。
従来価格の3分の1。自宅でできる新時代のリモート矯正
「マスク生活で歯科矯正に取り組む人が増えている」。そう語るのは、Oh my teethの西野誠代表取締役CEO(最高経営責任者)だ。
新型コロナウイルスの感染拡大前から、歯科矯正に興味がある人は一定数いた。しかし、以前は移動に対する制約がなかったこともあり、お金を費やすなら手間がかかる歯科矯正よりも旅行やレジャーの方がよいと、歯科矯正は後回しにされることも多かった。また、歯にワイヤを装着して人前に出る恥ずかしさもハードルの一つとなっていただろう。
それがこのコロナ禍において旅行はできず、またマスクで口元が隠れるため「今がチャンスと言わんばかりに歯科矯正をするユーザーが増えている」と西野氏は言う。
Oh my teethは、初期検査として最低1回通院するだけで、その後は自宅で歯科矯正できるというサービス。現状の歯型を3Dスキャンし、LINEに届く矯正シミュレーションに納得し、契約したら自宅にオーダーメードのマウスピース矯正キットが届く仕組みだ。2019年10月に開始している。
従来、歯科矯正は矯正器具のメンテナンスなどにより、2~4週間ごとの通院が必要だった。しかし、Oh my teethはLINEを使った歯科医と患者の1to1コミュニケーションを実現することで、通院不要の仕組みを構築。一般的に100万円ほどかかることも珍しくない歯科矯正だが、Oh my teethは、3分の1ほどの約3カ月33万円(税込み)からで実施可能なこともあり、ユーザーを引きつけている。低価格を実現できるのは、オンライン診療による人件費などのコスト削減と、矯正範囲を笑ったときに見える前歯に特化しているからだ。
マスク、オンライン会議……「気づかれない」が利用増へつながる
「新型コロナの流行以前に比べて、利用者数は2倍、売り上げは4倍を超えている」(西野氏)と人気ぶりがうかがえる。
利用者が増加している背景には、前述した価格面での優位性に加え、コロナ禍ならではの2つ理由があるようだ。
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