LINEは、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)を活用したデジタル景品配布の実証実験を繰り返し行っている。2021年12月には、アサヒ飲料のキャンペーンで実に30万枚を超えるNFT景品を配布。「新規顧客獲得」「ロイヤルティー向上」という2つのキーワードから、NFT活用の展望を探る。
LINEは、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)を活用したデジタル景品配布の取り組みを進めている。2021年8月の第1回を皮切りに、同年11月、12月にも繰り返し実証実験を行った。
NFTを配布する場となっているのが、「LINEで応募」だ。「LINEで応募」は、LINEユーザーがアンケート回答や対象商品を購入することで企業のキャンペーンに参加し、景品を獲得できるキャンペーンプラットフォーム。従来は、デジタル景品としてLINEポイントを付与することが主流だったが、新たにNFTを加えた形だ。
まずはNFTとは何かをおさらいしておきたい。NFTの「非代替性」という点は、「簡単に複製ができる」というデジタルの常識を変えるものだ。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を用いて、デジタルデータが固有のものであることを証明する。NFTを使えば、リアルの世界でいう「一点物」や「数量限定」といったことが、デジタル上でも成立するようになる。
この特長をデジタル上のキャンペーンに組み込んだのが、LINEで応募での取り組みだ。従来のLINEポイントの配布では、「ポイント付与数の大小以外に差別化が難しいのが課題だった。もう少し柔軟にブランドの世界観に合わせた表現ができないかと考えていた」とLINE OMO販促事業推進室の江田達哉室長は語る。一般的なデジタル景品であるスマートフォンの壁紙にしても、「簡単にコピーできてしまうので、このキャンペーンでしかもらえない景品とは言い難かった」(江田氏)。NFTを活用すれば、それらの課題を解消できると考えたのだ。
技術的には、LINEの独自ブロックチェーン「LINE Blockchain」基盤のNFTを活用している。他のNFTは特定の暗号資産(仮想通貨)の導入や専用アプリのダウンロードが必要になるが、LINEユーザーであれば誰でも簡単にNFTを活用したデジタル景品を受け取れるのがメリットだ。
では、どのような成果を上げたのか。見えてきたのは、「新規顧客獲得」と「ロイヤルティー向上」という2つの方向性だ。
30万枚のNFT景品を配布
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