ワコールは、独自開発の3D計測サービス「3D smart & try(スマート アンド トライ)」を用いて、乳がん患者の乳房再建に向けた取り組みを行っている。がん研究会 有明病院と共同で行っており、すでに5人の乳房再建手術が行われたという。全乳房切除術症例の2割にも満たないといわれる乳房再建手術。取り組みの背景と、開発中の手術用ブラジャーについて聞いた。

ワコールが独自開発した3D計測サービス「3D smart & try」
ワコールが独自開発した3D計測サービス「3D smart & try」

乳房再建手術が選ばれる割合が低い理由

 ワコールは、2021年から乳がんの先端的医療を行う「がん研究会 有明病院(以下、がん研有明病院)」と、乳房再建の発展に関する取り組みを行っている。

 乳房再建とは、乳がんの切除により変形あるいは失われた乳房をできる限り取り戻すための手術のこと。患者自らの組織の一部を移植する「自家組織再建」と、人工乳房(シリコーン)を使用する「インプラント再建」の2種類がある。

 再建手術を選択する割合は、全乳房切除術症例の2割にも満たないといわれている。その理由についてがん研有明病院の形成外科、矢野智之部長はいくつかあると説明する。

 まず医師不足の問題。特に自家組織再建は、7~8時間もかかる難しい手術であることから対応できる医師が限られている。現状はこのような手術に対応できる医師が首都圏に偏っているため、地方在住の患者は手術を受けられないことがある。他にも、患者自身が年齢などの理由により、再建手術を受けなくてもよいと判断するケースもある。

 こうした状況を受け、ワコールとがん研有明病院は、再建手術を希望する患者に選択肢を提供できるよう、共同で乳房再建の発展に関する取り組みを開始した。その1つがサージカル(手術用メジャメント)ブラジャーの開発だ。

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