博報堂が2016年12月に発売したボタン型スピーカー「Pechat(ペチャット)」は、ぬいぐるみに取り付けることで子供がおしゃべりを楽しめるデバイス。累計の販売台数は25万台に達し、21年12月には対話機能を強化した新モデルを投入した。ものづくりを通した新たなメディアづくりを目指す。

ぬいぐるみに取り付けて子供がおしゃべりを楽しめるボタン型スピーカー「Pechat(ペチャット)」。新モデルは税込み5990円
ぬいぐるみに取り付けて子供がおしゃべりを楽しめるボタン型スピーカー「Pechat(ペチャット)」。新モデルは税込み5990円

 「ゆうくん、はじめまして。一緒に遊ぼう!」。ソファに置いたぬいぐるみが突然話し始めるのを聞いて、子供が目を丸くする。大好きなおもちゃとおしゃべりするという、おとぎ話のような体験ができる製品が博報堂のペチャットだ。Bluetoothでスマホとつながり、ボタン型のスピーカーから発する音声をお母さんやお父さんがアプリで選ぶという仕組みだ。

 収録されているセリフは3000種類以上もあり、バリエーション豊かな会話ができる。歌や「桃太郎」などのお話も収録。当初はクラウドファンディングで購入者を募集し、1500万円以上の支援を集めた。おもちゃ店やベビー用品店と販路を増やし、出産祝いのようなプレゼント需要も掘り起こしたことで、販売数は累計25万台に達している。

 21年12月には、ペチャットの新モデルを発売した。マイク性能を向上させて子供が話す音声の聞き取り精度を高め、「首の長い動物は?」「きりん」「大正解!」といったクイズでペチャットとの対話を楽しめる「ほぼ自動おしゃべりモード」に対応させた。

生活者に「刺さる」体験を創出

 広告代理店の博報堂がなぜ「ものづくり」を手がけるのか。博報堂のクリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーで同社が発行する雑誌「広告」編集長の小野直紀氏は、15年前後に広がったテクノロジー系DIYのメイカーズブームがきっかけだったと話す。あらゆるものがネットにつながるIoTの関連技術が広がる中で「博報堂としても、生活者に刺さる体験をいかにつくり、情報を届けるかを実践する必要があると考えた」(小野氏)。

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