「メタバース」に続き、バズワードとなっている「Web3(3.0)」。次のインターネットの形ともいわれるが、一体何なのか。そして、企業はどう向き合うべきか。元gumi会長で、Web3関連への投資を積極的に行う國光宏尚氏に未来を聞いた。驚異的な勢いでビジネス化が進むメタバースやNFTとの関係にも注目だ。
メタバースに続き、急速に話題を集めているキーワード「Web3(3.0)」。米国を中心にWeb3関連のスタートアップへの投資が目立ち、日本でもWeb3を視野に入れた企業やサービスが続々と誕生している。2022年1月に米ラスベガスで開催された家電やデジタルの展示会「CES 2022」でも、Web3関連のサービスが目立った。まさにビッグウエーブの到来として、注目を集めている。
「Web3は次世代のインターネット」ともいわれるが、明確な定義は定まっていないという意見が多い。まだ新しい概念であり、また自身が所属する事業領域などバックグラウンドの違いで、定義や方向性は変わってくる。
ただ、比較的共通の認識として見られているのが、「分散型のインターネット」ということだ。
「Web 3.0, a decentralized and fair internet where users control their own data, identity and destiny.」
Web3 Foundationのウェブサイトには、Web3の“定義”としてこう書かれている。同財団は、主要な暗号資産の一つであるイーサリアムの共同創業者で、Web3の最初の提唱者ともいわれるギャビン・ウッド氏が代表を務め、Web3のビジョンの実現を目指す企業やプロジェクトを支援している。
直訳すると、Web3は「ユーザーが自分自身のデータ、アイデンティティー、運命をコントロールできる、分散型でかつ公正なインターネット」ということになる。
果たして、分散型のインターネットとはどういうものか、そしてビジネスにどう関係してくるのか、今回は国内外でWeb3領域への投資を積極的に行う元gumi創業者で、現在はThirdverse(サードバース、東京・千代田)のCEO(最高経営責任者)である國光宏尚氏に話を聞いた。國光氏は、ブロックチェーン技術を活用したNFT事業やクリエーター支援事業を展開するフィナンシェ(東京・渋谷)の代表も務めている。次世代のインターネットの話をするために、メタの「ホライズンワークルーム」を活用し、バーチャル空間での取材を敢行した。
現時点では、Web3は概念的な話も多く、理解しにくい部分があるかもしれない。だが、國光氏の話の中からは、今後の企業運営やコミュニティーの在り方、そして企業と消費者との関わり方のヒントが見えてきた。重要なキーワードを以下にまとめた。今回の記事では、これに沿って説明をしていく。
従来のような中央集権型プラットフォームではなく、分散型が台頭し拡大する
●所有の権利がユーザーに戻る
プラットフォームに依存せず、データを自分で管理し、利用できるようになる
●オーナーシップの在り方が変化
サービスの拡大に寄与した人など、より多くのメンバーへオーナーシップが分散化される
●DAO(自律分散型組織)の拡大
組織のリーダーというものが基本は存在せず、つくる人・運営する人と、利用する人といった階層構造がなくなる
そもそも「Web1」「Web2」って何?
なぜ今、Web3(3.0)がこれほど話題になっているのか――。「シリコンバレーを含めてホットになってきているのは、“power to the people”ともいうべき、インターネットを人々の元に取り戻そうという活動が強まっていることが発端」と國光氏はその理由を語る。
何から取り戻そうとしているのか、解説のためにウェブの流行の歴史を振り返る。
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