2022年1月に米ニューヨークで開催された小売分野の展示会「NRF 2022: Retail's Big Show」。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やインフレの懸念はあるものの、米小売りは好調。脱クッキーで広がる「リテールメディアの拡大」など、急速に変化する米国の最新事情を分析する。
NRF(全米小売業協会)による小売り関連の展示会「NRF 2022: Retail's Big Show(以下、NRF 2022)」が米国時間2022年1月16~18日に米ニューヨーク市のリアル会場で開催された。
オンライン開催だった前回の21年のNRFを振り返ると、話題の中心は「デジタル化のスピード」だった。コロナ禍で、デジタルによる非接触の購買が米国の消費者へ一気に広がった。「5年かかると予想されていた、デジタル化の適応が5カ月で進んだ」と、大手流通のリーダーたちが口々に語った。23年や25年を想定していたデジタル化の目標数値を、各社が達成してしまったのである。
▼関連記事 「コロナ禍のウォルマートはすごかった」 米リテール業界が称賛「NRF 2022」のキーテーマは「Accelerate(加速)」であった。米国の小売業界では、何が加速しており、その加速のドライバーとなっているのは何か。NRFの基調講演、米ウォルマートや米ターゲットと大手流通のCEO(最高経営責任者)がセッションで語った内容、会期前にNRF公式ブログが公開した22年トレンド予測を踏まえ、現在、米国流通で起こっている「加速」についてまとめていく。
パンデミックが流通業界の変化を加速
パンデミックが起こったからこそ、「消費者購買のデジタル化」は、業界の予想を超えるスピードで進んだ。同時に、デジタル化に慣れた顧客に対し、購買体験を継続的に向上させる必要も出てきた。米国の消費者は、ストレスのないスムーズな購買や自分のニーズと好みに合った接客など、より良い買い物体験を求めている――。米ウォルマートをはじめ、NRFで聞くことができた流通大手の講演内容をまとめると、こうなる。
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