2021年10月、長崎県波佐見(はさみ)町に私設の公園「HIROPPA(ヒロッパ)」をオープンしたマルヒロ(長崎県波佐見町)。伝統工芸品の波佐見焼を扱う商社が、なぜ公園をつくるのか。代表取締役社長の馬場匡平氏に聞いた。
――マルヒロとは?
馬場匡平氏(以下、馬場) マルヒロは、1957年に長崎県波佐見町で祖父が創業した波佐見焼の商社です。生産は外部に発注し、自社ブランドの商品企画や販売、卸をしています。自分が入社した2008年は、倒産寸前の状況でした。09年から11年まで、中川政七商店(奈良市)の中川政七さんのコンサルティングを受けて、10年に立ち上げた新ブランドHASAMIの「ブロックマグ」が売れました。
――ブロックマグはなぜ売れたのでしょうか?
馬場 当時は、アパレルやインテリアが融合したライフスタイルショップの出始めの頃で、道具や工芸が注目されるようになった頃でもありました。無地でプリントを入れられるブロックマグは、アパレル業界から火がつきました。発売半年後に「吉田カバン」の吉田(東京・千代田)から約2万個の注文が寄せられ、最初の1年間で約5万個を販売。波佐見焼が、400年も歴史があるのにあまり名前を知られておらず、価格が手ごろというのもよかったと思います。現在、スタッフは22人で、年商は3億円ほどに伸びています。
マルヒロが公園をつくる3つの理由
――なぜ公園を造ったのでしょうか?
馬場 理由は3つあります。1つは、中川さんのコンサル終了時に、「10年後の目標を決めよう」というお題があり、当時考えたのが、映画館や飲食店があるような「波佐見パーク」。2つ目が、16年に開催した、「ハッピータウン波佐見祭り」というイベントです。登録有形文化財の木造の公会堂を会場として借り、役所など、多方面に頭を下げて実現しました。そのとき、自分たちが自由に使える場所があったらいいなと感じました。3つ目は、16年に子供が生まれ、この付近に子供が遊べる公園があまりないと気づいたこと。10年前の妄想と自分たちの場と、子供が遊べる公園が一つになって、現在のHIROPPAにつながっています。
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