工芸をベースにした生活雑貨の製造小売りを手がける中川政七商店(奈良市)とデザインによるイノベーションファームを目指すTakram(東京・渋谷)のジョイントベンチャーがPARADE(奈良市)だ。「ビジョナリーブランディング」に特化したコンサルティングを2021年10月から提供。ブランドをマネジメントする新手法も開発している。
中川政七商店会長 PARADE社長
Takram ビジネスデザイナー PARADE副社長
ビジョナリーブランディングとは、ビジョンを起点としたブランディング。「ブランディングの根幹は企業が目指すビジョン、いわば志である」という考え方から、ビジョンづくりや戦略を支援する。ミッション、パーパスといった考え方もあるが、PARADEは企業にとって大切なものを理解し、ビジョンとして表現するという。中川氏と佐々木氏に新会社の狙いや今後の思いなどを聞いた。
中川政七商店とTakramの得意分野を補完
──PARADE設立の経緯は?
中川政七氏(以下、中川) Takramの田川欣哉さんとは以前から知り合いで、中川政七商店で講演していただいたこともあります。転職するならTakramに行きたいと思うほど魅力を感じたデザインファームで、私の知見を深めるため“インターン”としてTakramで働いたことがあり、そのときに佐々木さんとも知り合いました。佐々木さんの著書『D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略』(NewsPicksパブリッシング刊)も読んで感銘を受けました。
佐々木康裕氏(以下、佐々木) Takramでもブランドやビジュアル、プロダクトづくりを実施する前にビジョンやミッションを丁寧につくっていますが、中川政七商店のブランディングセミナーを受講したTakramのメンバーもいます。工芸などの分野を手がける中川政七商店のやり方はTakramと違い、そのメンバーには新鮮だったようです。
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