多数の熱狂的なプレーヤーを抱え、今なお新規参戦組も増えているスクウェア・エニックスのMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」。そのヒットの理由を探るために、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏に話を聞く記事の後編は、“世紀の大失敗”と言われたサービスをいかにして再生したのかに迫る。さらに、サービスを長く存続させる秘訣も聞き出した。

今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「ファイナルファンタジーXIV」。プレーヤーとのコミュニケーションを大切にするプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏だが、なぜ自ら矢面に立とうと考えたのか。その理由とは……(写真は吉田氏も参加するファンフェスティバルの一場面)
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの「ファイナルファンタジーXIV」。プレーヤーとのコミュニケーションを大切にするプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏だが、なぜ自ら矢面に立とうと考えたのか。その理由とは……(写真は吉田氏も参加するファンフェスティバルの一場面)
▼前編 『FF14』に見るサブスクの本質 吉田直樹氏ロングインタビュー

 累計登録者が2500万人を突破するなど、驚異の復活をなし遂げたスクウェア・エニックスのMMORPG、「ファイナルファンタジーXIV」(以下、FF14)。その成長をけん引するプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏のインタビューの前編では、ヒットを続ける理由やサブスクサービスとして心がけていることなどを聞いた。後編では、新生FF14開発初期段階に遡り、なぜ吉田氏が前面に立って積極的に情報発信やプレーヤーとの交流をしようと考えたのか、そしてどのようにしてチームをまとめ上げて復活をなし遂げたのかに迫った。

――新生FF14は、旧FF14の改修と呼べるものではなく、もはや全く新しいゲームになっています。極めて険しい道を選んだのはなぜか。

吉田直樹(以下、吉田) (前編でも少しお話ししましたが、)旧FF14で失った信頼を取り戻すことが最大の方針でした。僕自身もファイナルファンタジー(FF)シリーズのファンですし、何より一番ダメージだったのは、長年培ってきた信頼をものすごい勢いで損ねてしまったということです。今ここで信頼回復をしなければ、これからのFFシリーズにも影響が及びます。

 ですので、僕はFF14の担当になり、調査をある程度進めた段階で会社に今後のプランを提示する際、単体での利益は一旦考えないでくださいと言いました。計算すべきは、ここで信頼を回復できたことによって、将来得られるかもしれない収益。対して、今やらなければ損失は甚大になります。

 また、プロジェクトを引き受ける際に条件として挙げたのが、まず社として正式に謝罪をしてもらうことです。結果、当時の和田社長名義で謝罪文を掲出することになりました。

吉田氏はFF14立て直しのために、2つの案を会社に提案した。1つは、既存の旧FF14をできる限り温存しながら再生をし、一定期間後に閉じること。もう1つが、旧FF14の改修と同時に、大幅に刷新した新生FF14の開発を行うことだった。最終的には、後者を敢行することに
吉田氏はFF14立て直しのために、2つの案を会社に提案した。1つは、既存の旧FF14をできる限り温存しながら再生をし、一定期間後に閉じること。もう1つが、旧FF14の改修と同時に、大幅に刷新した新生FF14の開発を行うことだった。最終的には、後者を敢行することに

――信頼回復というと、まさにマイナスからのスタートです。制作陣をどうまとめていったのでしょうか。

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