ホンダの新型「ヴェゼル」は2021年4月23日の発売以来、毎月前年比150~200%を超える販売台数を記録。これに貢献しているのが、これまでホンダでは行ってこなかった、SNSやYouTubeなどの活用だ。成功の鍵を商品企画担当、宣伝担当の2人に聞いた。

ホンダ「ヴェゼル」の宣伝担当であるホンダ 日本本部 商品ブランド部 宣伝企画課 チーフの野口拓真氏(左)と、商品企画担当である日本本部 商品ブランド部 商品企画課 主任の古川博朗氏(右)
ホンダ「ヴェゼル」の宣伝担当であるホンダ 日本本部 商品ブランド部 宣伝企画課 チーフの野口拓真氏(左)と、商品企画担当である日本本部 商品ブランド部 商品企画課 主任の古川博朗氏(右)

販売台数がほぼ毎月前年比200%超

 2013年の初代発売以来、初のフルモデルチェンジを実施した新型コンパクトSUV(多目的スポーツ車)「ヴェゼル」をホンダが発売したのは21年4月23日。新型の累計受注台数は発売から約1カ月後となる5月24日時点で3万2000台を超え、5000台という月間販売計画の6倍以上を記録した。

 ホンダによれば、その後も発売から3カ月時点で4万8000台を受注。日本自動車販売協会連合会(自販連)による登録車統計でも、販売台数は前年比200%超えをキープしている。衰えることのないSUVブームを背景に、アウトドア色の強いモデルが増えている。そうした中、ヴェゼルは街中でも映えるクロスオーバー路線を守りつつ好調を維持。自販連の登録車(軽自動車の規格を超える大きさの自動車)の中で、21年10月は5位に位置する6831台、同11月は10位に位置する5381台を記録している。

 ホンダでヴェゼルの商品企画を担当する日本本部 商品ブランド部 商品企画課 主任の古川博朗氏によれば、新型の顧客層は従来型ヴェゼルの所有者だけでなく、他社からの乗り換えも多い傾向があるという。「従来型からの乗り換え組の年齢層は新規顧客より高めだが、全体としては若い層も増え、バランスよく幅広い年齢層のユーザーを獲得できている」と古川氏。

「バランスよく幅広い年齢層のユーザーを獲得できている」と古川氏
「バランスよく幅広い年齢層のユーザーを獲得できている」と古川氏

 新規顧客については「ヴェゼルがSUVデビューという人も多く、軽自動車やコンパクトカーからアップサイズしたケースも少なくない」(古川氏)と言う。これは新型ヴェゼルが後席の空間を広くして座り心地を向上させた他、エアコンの吹き出し口や飲み物を置けるドリンクホルダー、USB給電口、後席用スピーカーの強化など、後席の快適性を高めたことが大きな要因だ。さらに積載性を高めながらコンパクトなサイズを維持した点も、取り回しやすさのアピールにつながり、アップサイズ組の心をとらえたポイントだろう。

 さらに大きいのは、新たなニーズの掘り起こしのため、車を主役としないブランドムービーや、TwitterやInstagramなどを使い、大きくコミュニケーションを変えたプロモーション戦略だ。

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