JR西日本が、近い将来の本格的なデータ活用を視野に入れて、データドリブン施策を次々に打ち出している。2021年には日本コカ・コーラ(東京・渋谷)など第三者と提携して、ユーザーの駅外への誘導や、より詳細な行動分析にも挑戦した。今後も、自社の活動から生じるデータの蓄積と分析の精度向上に努めていく考えだ。

日本コカ・コーラと組んだスタンプラリーキャンペーンの告知(上)、京都サンガF.C.と組んだスタンプラリーキャンペーンの告知(下)
日本コカ・コーラと組んだスタンプラリーキャンペーンの告知(上)、京都サンガF.C.と組んだスタンプラリーキャンペーンの告知(下)

 JR西日本は2017年ごろから車両の運行情報や混雑率といったデータをAI(人工知能)で分析し、車両の整備や運行の改善を推進。併せて、得られたデータをマーケティングに生かす試みにも、20年3月から取り組んできた。

 具体的には、ユーザーが自身のスマートフォンにインストールしたJR西日本グループのアプリと、資本業務提携しているAIスタートアップのギックス(東京・港)が開発・提供する、ユーザーの行動履歴を基に最適化された複数の選択肢からオリジナルのスタンプラリーを作るアプリケーション「マイグル」を活用。鉄道とグループの商業施設を結び付け、その利用を促すスタンプラリーキャンペーンの形を何度も取ってきた(参考記事「JR西日本 新本部設立、キャンペーン連打でデータ経営に本腰」)。

日本コカ・コーラと提携し、ユーザーを駅外に誘導

 こうした20年3月以降の実績を踏まえ、21年7月にJR西日本が取り組んだのが、日本コカ・コーラと組んで、ユーザーを駅外に誘導する試みだ。京都駅周辺を対象に、駅外の神社仏閣のそばに配置された自動販売機での飲料購入を、スタンプラリーに組み込んだのだ。

 具体的にはこんな具合だ。ユーザーは、JR西日本グループのショッピングセンター(SC)の共通ポイントを利用できるアプリ「WESPO」上で、スタンプラリーキャンペーンへの参加を承諾。次いでJR西日本が運営する鉄道で利用できる電子マネー「ICOCA」のIDをアプリに登録する。

 すると、アプリやICOCAの過去の利用履歴などをAIが自動的に分析して、京都の神社仏閣や博物館など著名な観光地の中から当該ユーザーにふさわしい場所(最寄りのコカ・コーラ自販機の位置を含む)と、京都駅隣接のJR西日本グループの商業施設の中から当該ユーザーにふさわしい店舗を、それぞれアプリ上でリコメンドする。

当該ユーザーにふさわしい訪問場所(おでかけ先)をアプリ上でAIがリコメンドし、ユーザーが選んで確定。リコメンドが気に入らない場合は、ユーザー自身で選び直せる(出所/JR西日本)
当該ユーザーにふさわしい訪問場所(おでかけ先)をアプリ上でAIがリコメンドし、ユーザーが選んで確定。リコメンドが気に入らない場合は、ユーザー自身で選び直せる(出所/JR西日本)

 気に入ればリコメンド通りに、気に入らなければ選び直して、訪問場所と店舗を登録し、「おでかけプラン」を作成。その後、アプリ上のくじ引きを引いて、スタンプラリー完遂時に付与されるポイントを確定させたら行動開始となる。

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