象印マホービンが運営する弁当店「象印銀白弁当」が2021年3月16日にオープンしてから1年弱。JR新大阪駅の定番弁当の一つとしてすっかり根付いた印象だ。同社はこれまでに東京や大阪のほか、札幌、名古屋、博多などで炊飯器のプロモーションを兼ねた飲食イベントや店舗を手掛けてきた。18年から営業している常設店舗である「ごはんレストラン 象印食堂」は、ピーク時は“1時間待ち”になるほどの人気だったという。炊飯器メーカーが飲食事業に乗り出す理由とは何か。
あの高級炊飯器で炊き上げたご飯を使った弁当を食べられる――。21年3月16日にオープンしたのが、象印マホービン(以下、象印)が運営する弁当店「象印銀白弁当」だ。JR新大阪駅の東改札外に完成した商業施設「エキマルシェ新大阪Sotoe(ソトエ)」の一店舗として出店。シックな和風の店構えで、カウンターの奥には同社の高級炊飯器が数台鎮座している。
コンセプトは「“ごはんが主役”のお弁当専門店」。手土産や会議弁当などに向く「但馬牛弁当」(1780円、税込み、以下同)を筆頭に、ご飯に合う和のおかずを詰め込んだ「和食弁当」(1080円)や、普段のランチなどに向く「まんぷく弁当」(980円)、「菜食弁当」(880円)など、6種類の弁当を販売する。「主役のごはんを引き立たせ、ごはんがすすむメニューを取りそろえた」と象印マホービン経営企画部事業推進グループの徳岡卓真氏は話す。
弁当に使うご飯は、もちろん同社の炊飯器で炊いたもの。使用しているのは高級炊飯器「圧力IH炊飯ジャー 炎舞炊き」だ。厨房にはその1升炊きモデルが約15台並び、忙しい時にはそれぞれ3回転することもある。弁当のご飯は、炊飯器の「白米ふつう」モードで炊いたスタンダードな「銀白ごはん」に加え、「もちもち」「しゃっきり」など食感が異なるように炊き分けたご飯や、玄米やもち麦などを使った「健康応援ごはん」などのなかから、月ごとに3種類が用意され、そこから選ぶ仕組み(但馬牛弁当は銀白ごはんのみ)。3種類のご飯を食べ比べできる「月替り ごはんセット」(300円)が用意されるほか、朝食限定メニューや自治体とコラボしたメニューもある。
炊飯器というと“炊きたての熱々ご飯”をイメージするが、弁当には適温に冷ましたご飯が使われている。「新幹線の中やご自宅など、どこかに持っていって食べる弁当なので、少し時間がたった後でもおいしく食べられるように粗熱を取ったご飯を提供している」(徳岡氏)。炊き上げたご飯は専用の機器を使って短時間で冷ました後、弁当に詰められる。使用している米は、お米マイスターの金子真人氏が厳選した「銀河のしずく」(岩手県産)と「棚田米コシヒカリ」(佐賀県産)をブレンドしたもの。「冷めてもツヤがあり、モチモチした食感を味わえるように金子氏が試行錯誤しながら仕上げた」(徳岡氏)
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