東京都大田区にある個人経営の居酒屋「酒菜酒房 下丸子一休」は、フェイスブック ジャパン(東京・港)による中小ビジネス支援の企画「INSTA MIKKE TOKYO(インスタ ミッケ トーキョー)」の一環で、Instagramアカウントの強化にチャレンジした。「アカウントの定義づけ」「投稿の質の改善」「投稿の広告への活用」に取り組むことで、リーチ数が約6.5倍になるなどの成果が見えてきた。その一連の過程を公開する。
新型コロナウイルス禍における緊急事態宣言や外出自粛の影響で、思うように店舗営業ができず、大打撃を受けた飲食店。現在も、コロナ禍以前の状態には戻り切れていないのが実情だろう。
そんな中、フェイスブック ジャパン(東京・港)は、店舗を開けない状態であっても顧客とつながりを持ち続けられる手段として、Instagramの活用を提案する。
同社は2021年7月5~11日、Instagram上で投稿やライブ配信を行うことで中小ビジネスとInstagramユーザーとの出合いを呼びかけるイベント「INSTA MIKKE TOKYO(インスタ ミッケ トーキョー)」を開催。その一環として、東京都大田区にある居酒屋「酒菜酒房 下丸子一休」はInstagramアカウントを成長させていくチャレンジ企画を行った。同店は、20年にフェイスブック ジャパンが実施した「中小ビジネス助成プログラム」にも参加している。
今回の企画では、下丸子一休のInstagramのアカウント運用を指導する人物もフェイスブック ジャパンが手配した。その役目を務めたのが、known unknownディレクターの力丸聡氏だ。同氏は「BOOK AND BED TOKYO」を運営する(取材当時)。“泊まれる本屋”として、15年に東京・池袋で1号店をオープン。図書館を備え付けた簡易宿泊施設といったイメージで、米誌「ナショナルジオグラフィック」でもユニークな宿泊施設として紹介されるなど、注目を集めた。
BOOK AND BED TOKYO は、Instagramアカウントによる発信にも注力しており、現在、アカウントのフォロワーは4万3000人を超える。施設内観の写真投稿や24時間限定投稿の「ストーリーズ」を通じたフォロワーとの交流など、Instagramを使いこなして顧客を呼び込んできた。その経験を買われ、指導者となった格好だ。
1から始めたInstagramアカウント運用
インスタ ミッケ トーキョーの企画が始まる以前の17年から、下丸子一休はInstagramアカウントを開設していた。同店のスタッフで、広報も担当する安藤千尋氏は「料理や店内の写真を通じて視覚的に訴求できるという点で、飲食店とInstagramは相性がいいと考えていた」と振り返る。
Instagramアカウントを開設する以前からFacebookアカウントも運用しており、新メニューやイベントの告知などの投稿を行っていた。そこに寄せられるコメントを通じてフォロワーとの交流が生まれることから、「SNSが知名度アップや顧客とのコミュニケーションを取るのに役立つ実感はあった」と安藤氏は語る。そうした経験もあり、下丸子一休がInstagramアカウントを開設するのは自然な流れだった。
ただ、積極的にInstagramアカウントを運用していたとは言い難い。Instagramには、写真や動画をユーザーのホーム画面に表示する「フィード投稿」に加えて、「ストーリーズ投稿」、ライブ配信の「Instagramライブ」など多彩な機能がある。その一方で、下丸子一休が行っていたのは、店の新メニューや店で行うイベントの告知をするフィード投稿のみ。その状況に対して、今回の企画で指導者になった力丸氏は「ほとんど運用ができていないも同然の状態だった」と語る。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー