meuron(東京・豊島)が展開するクラフトビールのサブスクリプションサービス「Otomoni(オトモニ)」が好調だ。会員数はこの1年で2.2倍に増加。顧客満足度が高く、2021年11月の月間解約率を2.1%に抑えている。これを実現しているのが、会員向けのスマートフォンアプリだ。飲んだビールの種類がアプリ上で図鑑のように埋まっていき、コレクション欲求が満たされていく。さらに届いたビールを評価することで、より好みに合った商品が届くようになるパーソナライズの仕掛けが人気の秘訣だ。

meuron(東京・豊島)が展開するクラフトビールのサブスクリプションサービス「Otomoni(オトモニ)」の会員数はこの半年で2倍以上に増加した
meuron(東京・豊島)が展開するクラフトビールのサブスクリプションサービス「Otomoni(オトモニ)」の会員数はこの半年で2倍以上に増加した

 Otomoniで取り扱うビールの種類は1700超。日本全国に小規模なブルワリー(ビール醸造所)があり、各地の名産物を副原料に使った国内発クラフトビール、いわゆる「地ビール」の銘柄は実は数多い。ところが、そうしたブルワリーは販路を開拓する手段がなく、「知る人ぞ知るビールが日本中で乱立している状態だった」とmeuronの金澤俊昌社長は日本のクラフトビール産業の課題を語る。

 販路が開拓できなければ、ネット通販で直販を展開すればいいのではないか。そう考える読者もいるだろう。昨今では、小規模事業者がネット通販に乗り出せるように、BASEなどの初期費用がかからないEC構築サービスが事業規模を拡大している。だが、数人規模のブルワリーでは顧客管理や配送まで手が回らない。また、冷蔵配送がネックになって、取り組めないブルワリーが多かったという。

 クラフトビールブームの到来で、コンビニエンスストアの棚に小規模銘柄のビールが並ぶことも一般化してきた。ただ、そのレベルに到達できるのはほんの一握りだ。地ビールは小売店の店頭にほとんど並ばない。「ネットでクラフトビールを買ったことがある人すら、ほとんどいない。買われるのはワインや既存のビールなどが中心。ビアバーなどの専門店にあれば飲む程度の人が大半だ。『クラフトビール』の認知はあれど、地ビールを飲む機会は著しく少なかった」と金澤氏は言う。

地ビールと消費者の出合いに商機

 クラフトビールを愛飲する消費者は増えているが、流通上の課題から、各地域の取扱店やクラフトビールを集めたイベントなど以外で出合う機会がほとんどなかった。金澤氏はここに商機を見いだして、Otomoniを開発した。

 Otomoniは全国から集めた知られざるビールを、サブスクリプション型で毎月6本ずつ詰め合わせにして届けるサービスだ。価格は月額4378円(消費税・送料込み)からとなる。原則的には会員は届くビールを指定できないのが特徴。その月に気に入ったビールがあれば、最大3種類まで継続配送を希望する機能があるものの、残りの3種類は必ずランダムになる。

 「契約者は毎回、どのビールが届くか分からない。まだ知らないクラフトビールとの出合いの体験設計に、サービスの価値がある」(金澤氏)。こうした仕組みの採用で、新たな出合いを生み出せるようにしている。

Otomoniはサービスと連係したアプリで顧客の好みを把握して、パーソナライズした商品を届ける循環で体験価値を高めている
Otomoniはサービスと連係したアプリで顧客の好みを把握して、パーソナライズした商品を届ける循環で体験価値を高めている

顧客が何度もSNSに投稿したくなる仕掛け

 meuronはサービスの体験価値をより高めるために、アナログとデジタルの両方を組み合わせた工夫に取り組む。まずアナログ施策ではパッケージが挙げられる。クラフトビールは味だけでなく、ボトルのラベルも個性的だ。色鮮やかなラベルやまるでワインのようなラベルなど、一般的な小売店で販売されている商品には見られないデザインを、各ブルワリーが趣向を凝らして作っている。

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