日本のプログラマーが1人で開発した協力アクションパズルゲーム「PICO PARK(ピコパーク)」が全世界で100万本を突破する謎の大ヒットを遂げている。YouTubeにはゲーム実況者たちがプレー動画を投稿。南米では「TikTok売れ」が起き、その余波は日本にも拡大している。コロナ禍で多くの人の心を捉えた理由を探ると、ヒットの新しい生まれ方が見えてきた。

2~8人で協力しながらゴールを目指す協力アクションパズルゲーム「PICO PARK」(TECOPARK)が世界中でヒットを記録。謎ブームを追っていくと、“実況映え”を生む仕掛けが見えてきた
2~8人で協力しながらゴールを目指す協力アクションパズルゲーム「PICO PARK」(TECOPARK)が世界中でヒット。謎ブームを追っていくと、“実況映え”を生む仕掛けが見えてきた

 「PICO PARK(ピコパーク)」は、ゲームプログラマーの三宅俊輔氏が、大手ゲーム会社に勤務する傍ら、1人で開発した協力アクションパズルゲームだ。2人から8人までどのプレー人数でも遊ぶことが可能で、仲間と協力しながらゴールを目指す。PCやNintendo Switchで遊べる。

 同ゲームは2021年だけで、世界で累計売上100万本を達成。動画共有サイト「BiliBili」での投稿が話題となり中国でヒットし、YouTubeには世界の人気ストリーマー(ゲーム実況者)たちがこぞってプレー動画を投稿する盛り上がりをみせている。南米では、TikTokの投稿からブレークする「TikTok売れ」現象が起きており、プラットフォームを超えて世界のゲームファンに親しまれている。

「未知のゲームを1人で作りたい」 開発に踏み切った理由とは

 「どれくらいのユーザーが遊んでくれるかは分からない。ただ、自分が心から面白いと思う未知なるゲームを作りたかった。それが大きくなったらいいなという気持ちでした」。開発者の三宅氏は、1人で開発を始めた経緯をそのように話す。

PICO PARKを開発した、ゲームプログラマーの三宅俊輔氏
PICO PARKを開発した、ゲームプログラマーでTECOPARK代表の三宅俊輔氏

 ゲーム開発において「個人開発」と「ゲーム会社でプログラマーとして行う開発」が決定的に違うのは、面白いゲーム企画に需給の説明を求められるか否かということだ。ゲーム会社での開発は、事前に市場規模の調査を行い、多くのユーザー獲得が見込めるゲームを開発するのが定石。前例がなく、ユーザー規模を説明できないゲームは開発が難しい。

 しかし三宅氏は、ユーザー数の見込みが説明できないものだとしても、多くのユーザーに受け入れられるゲームが生まれる可能性は十分にあると感じていた。自分が面白いと思うゲームを個人開発で作り、どれだけゲームファンに届けられるか挑戦してみたかったという。

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