コロナ禍でZ世代のTikTokトレンドにも変化が生まれている。外出自粛により「今」の楽しさをアピールできなくなった中、目を向けたのが過去の体験の共有だ。企業のインフルエンサー施策を手掛けるサイバー・バズの担当者が、TikTok上で起きているコロナ禍のレトロブームを解説する。
数年前からZ世代の若者の間では「エモい」という言葉が注目を集めています。最近ではさらに加速しており、このエモさを表現する波はTikTokでも急速に広がっています。なぜ今、TikTokでエモい投稿が人気を集めているのか、探ってみました。
そもそも「エモい」とは、エモーショナルが由来ともいわれており(諸説あり)、共感、感動、切ない、懐かしい、ノスタルジックというような“うまく言葉に表せないけれど感情が動いたとき”に使われる若者言葉です。
例えば、数年前から富士フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」が盛り上がっているのも、この「エモい」という感情の発露だったと考えられます。若者は「エモい」をはやりのInstagramで表現したいと考えた結果、一番良い方法を探すと「写ルンです」で撮影した際の写真の粒度の粗さ、感光具合に突き当たったのです。わざわざフィルムカメラで撮影し、デジタル化し、SNSにアップする――。「エモさ」を求め、この手間をかけているのです。

「写ルンです」で撮った写真をデジタル化したものもInstagramなどのSNSではよく見られる。また、写ルンです風に加工できるアプリなども人気に
なぜTikTokで「エモい」動画が広がったのか 3つの理由
そんな「エモい」動画が今、一番あふれているのがTikTokです。増殖した理由は、大きく3つ考えられます。
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