米ウォルト・ディズニーの動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」が日本を含むアジア太平洋地域(APAC)でコンテンツ拡大の動きを加速している。2021年2月に20世紀スタジオなどの映画を含む「スター」ブランドを追加すると発表。10月14日には、そのスターにTBS日曜劇場のドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』など日本のドラマもラインアップすることを明らかにした。スターの追加は“脱ディズニー”を印象付ける。その背景には、アジア市場の成長とそれを踏まえたディズニーのグローバル戦略がある。
米ウォルト・ディズニーが今、注力しているのが「Disney+」である。消費者にダイレクトにコンテンツを届ける動画配信サービスとして北米で2019年11月にサービスを開始、日本には20年6月に上陸した。
そのDisney+が今、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)でのコンテンツ戦略を強化している。それが「スター」と呼ばれる新たなコンテンツブランドの投入だ。2021年2月に発表し、シンガポールを皮切りに、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、西欧などで順次展開。日本では、21年10月27日から提供を開始した。今後、1万6000を超える作品群を届けていくという。
これまでDisney+のコンテンツブランドは「ディズニー」「ピクサー」「マーベル」「スター・ウォーズ」「ナショナル ジオグラフィック」で構成され、いうなればディズニー色が強いものが多かった。これらに比べて、スターはより大人向け。ディズニー・テレビジョン・スタジオ、FXプロダクションズ、20世紀スタジオ、サーチライト・ピクチャーズなど、ディズニー傘下の制作スタジオの作品が中心だが、その中にはディズニー色にこだわらない作品群も多い。
例えば、サーチライト・ピクチャーズの作品で、第93回アカデミー賞で作品賞などを受賞した『ノマドランド』、20世紀スタジオのヒット作『エイリアン』『タイタニック』『プラダを着た悪魔』などが含まれる。
日本でも人気の海外ドラマもある。「ウォーキング・デッド」の完結編となるシーズン11はスターブランドの作品として独占配信が決まった。これもディズニーのパブリックイメージとは異なるものの、Disney+加入のきっかけを促すような強力作だ。
さらに、APACのコンテンツ充実にも力を注ぐ。ウォルト・ディズニー・ジャパン(東京・港)のキャロル・チョイ社長が「ディズニーにとって重要な市場」と言い切るように、日本は戦略市場の1つ。日本市場に合わせたコンテンツにも焦点を当てており、スター初の日本のドラマとして、TBS日曜劇場のドラマ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』の配信がスタートした。松尾諭原作、仲野太賀主演の『拾われた男』やコミックを実写化した柳楽優弥主演の『ガンニバル』など、新作ドラマの制作・配信も予定している。
チョイ社長は「スターの追加により、これまでにない幅と深さを持つゼネラル・エンターテインメント・コンテンツがラインアップに加わるほか、日本のトップクリエイターと協力して生み出すローカルコンテンツをお届けする」と述べた。
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