「あ、こんなのがあるんだ。買っちゃおう」。そんなリアル店舗でのセレンディピティー(偶然の出合い)が、EC上では発生しづらいといわれる。ECの弱点を補い、衝動買いを引き起こす台湾発のAI(人工知能)が広がっている。導入後のコンバージョンレート(CVR)が4倍といった着実な成果も見えてきた。
中古ブランド品の「KOMEHYO(コメ兵)」、衣料品の「しまむら」、下着の「ピーチ・ジョン」。それぞれのECサイトには共通点がある。いずれも、台湾発のスタートアップawoo Japan(アウージャパン、東京・新宿)の衝動買いをデジタル化するAIマーケティングプラットフォーム「awoo AI」を導入しているのだ。製品の情報ページを開くと、SNSのハッシュタグのようなキーワード(タグ)が複数表示される。そのキーワードをクリックすると、関連する商品のリストが現れる。
例えば、トップページから宝飾ブランド、カルティエの指輪のページを開くと「カルティエ 指輪」「ダイヤモンド 指輪」「女性 アクセサリー」「ダイヤモンド アクセサリー」という関連キーワードが並ぶといった具合だ。
「消費者は、サイト上で何気なく見ている商品そのものを本当に欲しいと思っているとは限らない。実は、その中にある潜在的な特徴を欲している」と話すのは、awoo Japan日本事業開発責任者の吉澤和之氏だ。サイトを訪れた人は、カルティエが好きなのかもしれないし、指輪を探しているのかもしれない。漠然と何かキラキラしたアクセサリーが欲しいのかもしれない。
awoo AIは、商品のタイトル、説明文、スペック情報、画像から、それぞれの商品のキーワードを自動的に記録していく。そのキーワードを分析し、商品のページには、消費者が潜在的に求めていると思われる関連のキーワード群を表示するのだ。「awoo AIをECサイトに組み込むだけで、回遊率(1訪問あたりのページビュー数)、滞在率を高め、衝動買い体験を生み出せる。そうしたサイト内のCX(カスタマーエクスペリエンス)を最適化するための運用をAIが自動でやってくれる。ダッシュボードをいじるといった人の作業は必要ない」と吉澤氏は説明する。
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