京都・洛北に2021年9月16日、ヒルトンの最上位ブランドのホテル「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts(ロク キョウト エルエックスアール ホテルズアンドリゾーツ。以下、ロク キョウト)」が開業した。場所は自然の美しさが残る鷹峯三山の麓、新たな高級リゾート地として注目のエリアだ。ヒルトンにとっては悲願の京都初進出。インバウンド狙いの目的は変えず、当面は国内客向けに京都の奥座敷ならではの魅力と体験を打ち出していく。

京都駅から車で約30分の京都・洛北に2021年9月16日開業した「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts」。にぎやかな市内から離れた鷹峯三山の麓に位置する
京都駅から車で約30分の京都・洛北に2021年9月16日開業した「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts」。にぎやかな市内から離れた鷹峯三山の麓に位置する

「アマン京都」もある注目の高級リゾート地

 京都駅から車で約30分。市内中心部の喧騒(けんそう)を離れ、観光名所・金閣寺の近くまで走ると、小高くそびえる鷹ヶ峰(たかがみね)が見えてくる。鷲ヶ峰、天ヶ峰と並び、鷹峯三山と呼ばれる一帯は、江戸時代に刊行された『都名所図会』にも描かれている景勝地だ。鷹ヶ峰は、花札の「ススキに月」の絵柄のモチーフになったともいわれている。いにしえには貴族が鷹狩りを楽しんだ由緒ある別荘地は、現在も静謐(せいひつ)な時間が流れていた。

 この風光明媚(ふうこうめいび)な地に1951年、リゾート施設を開発したのが、西陣の着物メーカーとして創業した染匠のしょうざん(京都市)だ。創設者の故・松山政雄氏が鷹峯三山を借景に庭園を整備し、日本各地の建造物を移築して築いたのが「しょうざんリゾート京都」。「花と緑の観光工場」をコンセプトに約11万5700平方メートルの敷地内には、結婚式場や日本庭園、染織工芸館の他、中華料理店、料亭などが点在する。「ロク キョウト」は敷地内の南にあり、しょうざんと東急不動産の共同事業として開発された。

エントランスを抜けると、京都に自生する植物を配した中庭が広がる。写真左手のホテル玄関前には、ブランドのロゴマークのモチーフにもなった台杉が植栽されている
エントランスを抜けると、京都に自生する植物を配した中庭が広がる。写真左手のホテル玄関前には、ブランドのロゴマークのモチーフにもなった台杉が植栽されている

 市街地から離れた立地にラグジュアリーホテルを開業した理由について、東急不動産ホテル・リゾート事業本部ホテル企画部企画開発グループの望月巧実課長はこう語る。

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