お笑いコンビ、マヂカルラブリーの野田クリスタルさんと面白法人カヤック(神奈川県鎌倉市)のディレクター・後藤裕之氏がタッグを組んで開発した「スーパー野田ゲーPARTY」。2021年4月にNintendo Switch向けとして発売されると1週間で5万本を売り上げ、現在も好調で2022年の続編発売も決定したが、制作の裏側は異例づくしだったという。後藤氏に開発秘話を聞いた。
2021年4月29日発売の「スーパー野田ゲーPARTY」は、野田クリスタルさん自身が開発し、「R-1ぐらんぷり2020」で優勝した際のネタとしても用いられた通称“野田ゲー”をベースにしたパーティーゲームだ。全18タイトルが1つのパッケージに収められている。そして、共同開発者として企画・制作に携わったのが、面白法人カヤックのディレクター・後藤裕之氏だ。後藤氏はかつてバンダイナムコエンターテインメントに在籍し、「ことばのパズル もじぴったん」をヒットさせた人物として知られる。
コロナ禍、「ぜひ話したいです」「ぜひやりましょう」
なぜ、後藤氏は野田さんと共同でゲームを開発しようとしたのか。「そもそもカヤックでは、コロナ禍で世の中が暗くなっている中、面白法人として世の中を明るくするコンテンツを出したいという話が上がっていた」(後藤氏)という。「もともとお笑い番組が好きで、『M-1グランプリ』や『R-1グランプリ』を毎年見ており、野田さんが優勝された回も見ていた。賞レースにおいて、ゲームネタで優勝するのは珍しく、誰が見ても面白い。ゲームとお笑いを融合させたところに興味を持ち、野田さんと何か一緒に面白いことがしたいと思っていた」と後藤氏は明かす。
そんなとき、本作のプロデューサーを務めたカヤックの香田遼平氏から吉本興業を介して野田さんとつながりそうという話があり、「ぜひ話したいです」と伝えたという。そして、香田氏から吉本興業の担当者に連絡したところ、野田さんから「ぜひやりましょう」と返事があった。具体的なことは何も決まっておらず、LINEなどを介し、プロジェクトは軽いノリでスタートした。
「R-1で優勝して、これからメディアの露出が増えるというタイミングでコロナ禍になってしまい、想像以上に劇場の仕事もなくなって野田さん自身も困っていた。今でこそ芸人さんがYouTubeでネタを披露したりしているが、当時はそれほどでもなく、吉本側としてもネット上で笑いを届けたり、芸人さんを使ったコンテンツをいろいろつくりたいという要望があったようだ」(後藤氏)。ちょうどカヤックが目指していることと吉本興業のやりたいこととがうまくかみ合って実現した企画だった。
野田さん自身が昔から家庭用のゲーム機、中でもNintendo Switchでゲームを出したいという夢があったこともあり、プラットフォームはSwitchに決まった。ここまでは、とんとん拍子で話が進んだが、資金の壁にぶつかる。通常、Switch用のゲームを開発しようと思えば1000万円は必要だが、コロナ禍なうえ先行きが不透明な事業にカヤックも吉本も開発費が捻出できなかった。
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