「リール」とは、Instagramで短尺動画を編集・共有できる機能のこと。大きな特徴はフォロワー以外のユーザーに広く拡散できる点だ。2020年8月に導入され、21年7月末には、60秒までの動画を投稿できるようになった。短尺動画のトレンドが続く中、成功事例に学ぶポイントを2回にわたり伝える。(前編は中小企業、後編は大企業の事例を掲載)
「リールへの投稿を開始後、フォロワー数が倍に、月間の新規顧客は3倍になった」。
東京・表参道の美容室Violetに勤める武者ひなの氏はこう語る。それまでInstagramに毎日投稿していたものの、フォロワー数や再生回数が伸び悩み、「この先どうすればいいのか分からなくなっていた」という。
武者氏が「それまで毎日投稿していた」のはフィード投稿だ。自分の髪をヘアアレンジする動画やヘアカラーをした顧客の画像などを載せていた。フィード投稿はInstagramを開くとホーム画面に表示される画像や動画で、自分のフォロワーのみに公開される(ハッシュタグを付ければ、ハッシュタグ検索でフォロワー以外にも拡散される)。
リールに注力するきっかけになったのは、社長に勧められ2021年4月に受けた美容師向けのInstagramの講習だった。「リールは多くの人に見られると聞いて、まずはそれまでフィードに投稿していた動画をリールに載せた」(武者氏)
リールに動画を投稿するメリットは、フォロワー以外への拡散性が高いことだ。フェイスブック ジャパン(東京・港)のInstagram広報、市村怜子氏は「例えばフォロワーが1万人だとしても、リールのタブに載って多くの方にリーチしたことで動画の再生回数が突然数十万になったりすることも結構ある」と語る。
その理由はリール実装の目的にある。「今はまだ知名度はないが、Instagramを使って好きな世界を表現することをきっかけに活躍の場が広がり、次世代を代表するようなクリエイターを生み出したい」というInstagramの狙いだ。
Instagramを開くと画面下部に「リール専用のボタン」があり、ここを開けば利用者の興味関心が高そうなリール動画をアルゴリズムが判別し、表示してくれる。「ダンス動画や料理動画、お笑い系の動画などパッと見て楽しめるような動画がパーソナライズされて流れてくる。じっくり腰を据えて見るよりも、空いた時間にパッと見て楽しめるエンタメ性の高い機能」(市村氏)
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー