最高8億円超の“別荘”をECで販売、利用しない日はホテルとして貸し出し可能――。従来の常識を覆す斬新なビジネスを仕掛けるのが、NOT A HOTEL(ノットアホテル、東京・渋谷)だ。2021年2月にアイデアを公開するや、約5000件もの問い合わせが殺到。そして、21年9月28日、第1弾となるフラッグシップ物件のネット販売がスタートした。同社が目指すのは、「ECで服を売るように、別荘を売る」こと。一体どんな仕組みなのか。

栃木県那須の「NOT A HOTEL NASU」。16万坪の牧場に当初は2棟建築予定。最高価格は8億円超、これをECで販売する
栃木県那須の「NOT A HOTEL NASU」。16万坪の牧場に当初は2棟建築予定。最高価格は8億円超、これをECで販売する

 2021年9月28日、ノットアホテルが運営するECサイトがオープンした。コロナ禍をきっかけに様々な業界でECの導入が加速しているが、同社が売るのは、個人が購入するものとしては最も高額な部類に入る“別荘”だ。

 ECサイトを見ると、間取りが4LDK、屋内面積が約300平方メートル、テラスが200平方メートル余りと、広大な超高級物件であることが分かる。プール付きで温泉も備える。室内の照明やエアコン、電化製品、サウナなどの付帯施設は全てIoT機器で管理されており、オーナーが物件に近づくと、好みの室温や明るさになり、お気に入りの音楽を流しておくことも可能。鍵もアプリで解錠できる。

温度、湿度、照明などをアプリで操作可能
温度、湿度、照明などをアプリで操作可能

 驚くことに物件の最高額は、税込みで「8億3760万円」。にもかかわらず、ノットアホテルのECサイトでは、当たり前のように「今すぐ購入申込み」のボタンがある。つまり、8億円超の物件を、まるで洋服や雑貨を買うかのように購入できる。別荘のD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)モデルともいえる、異例のECサイトだ。

「シェア買い」で30日利用分だけ購入も可能

 購入の方法は2つある。1つ目は、1人のオーナーが物件を丸ごと購入する一棟買い。2つ目が年間30日分の所有権を複数のオーナーが購入する「シェア買い」だ。

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