SNSアプリ マーケ新機能&活用術 第10回(写真)

空調大手のダイキン工業がこの冬に向けて、TikTokを活用したマーケティングに本格的に取り組もうとしている。2021年春に展開した初のTikTokキャンペーンによって、課題だった若年層へのブランドリフトに成功したためだ。その背景と手法を探った。

ダイキン工業が2021年夏に展開したTikTokのキャンペーン画面
ダイキン工業が2021年夏に展開したTikTokのキャンペーン画面
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「13年に1度」のチャンスをものにしたい

 ダイキン工業はTikTokの公式アカウントの新設に併せ、2021年5月27日~6月3日にダンス動画を配信するキャンペーンを実施した。広告動画の視聴完了率がTikTok平均の約3倍を記録し、目標としていたKPI(重要業績評価指標)をすべて達成するなど、苦手としてきた若年層へのブランディングに顕著な成果があった。

 この結果を受け、同社は21年12月から展開予定のキャンペーンでもTikTokをプロモーションに積極活用していくことを決めた。既に9月から、今回プロデュースを手掛けたコンテンツ制作会社のワンメディア(東京・目黒)と今冬に向けたプランニングを開始したという。

 ダイキン工業にとってTikTokのプロモーション活用はこの春が初めてだが、TwitterとInstagramを使ったプロモーションには19年から取り組んでいた。どれも活用次第で顧客とのつながりを創出できるSNSプラットフォームだ。ではなぜ、同社はTikTokに入れ込み始めたのか。そこには若年層にうまくリーチできない、空調専業メーカーならではの“弱み”があった。

 ダイキンが若年層を狙う理由は、エアコン購入のプロセスに起因する。エアコンは高価な製品にもかかわらず、ある日突然、必要に迫られ即決で買わざるを得ない。特に熱中症の危険を伴う真夏に壊れてしまった場合、一刻も早く手配したいだろう。また、普段から製品をチェックしていれば「このメーカーのこの機種」と見当を付けられるが、ほとんどの人はエアコンの最新動向など把握していない。何となく知っているメーカーの中から、予算や納期が合う機種を選んでしまうこともあり得る。さらに販売のピークには、工事が立て込んですぐに設置できない「エアコン渋滞」も発生するくらいだから、納期最優先、メーカーなど構っていられないケースもあるに違いない。

 ダイキン工業はこうした点に課題を感じていた。エアコンの買い替えサイクルは「13年に1度」といわれている。そこで自社の製品を候補に加えてもらいたい。だが、競合の大手家電メーカーは空調以外の幅広い製品を扱っているため、既に顧客と複数の接点を持っている。製品に自信はあっても、タッチポイントの少なさは空調専業メーカーにとって“泣きどころ”でもあった。

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