定額制動画配信サービス「Paravi(パラビ)」を展開するプレミアム・プラットフォーム・ジャパン(東京・港)が、マスとデジタルの統合マーケティングに注力している。従来、別々に出稿していたテレビCMとデジタル広告を包括的に分析し、相乗効果を探った。分析結果から、テレビCM単体で接触した消費者より、複数媒体で接触した消費者のほうが利用意向は約6倍高まる結果が出るなど、驚きの成果が明らかになった。

定額制動画配信サービス「Paravi」を展開するプレミアム・プラットフォーム・ジャパンは、マスとデジタルの統合マーケティングに注力し始めた
定額制動画配信サービス「Paravi(パラビ)」を展開するプレミアム・プラットフォーム・ジャパンは、マスとデジタルの統合マーケティングに注力し始めた

 マスとデジタルで一貫した消費者接点を持つための統合マーケティングは、多くの企業にとって課題だろう。従来は全く文化が異なるマス広告とデジタル広告を同一指標で分析することは難しかった。しかし、テレビCMの改革が進むことでデータ基盤が整い、デジタルマーケティングと統合的に分析する環境を整えやすくなりつつある。そうした中、統合マーケを進めやすくするためにマスとデジタルの相乗効果の可視化を試みたのが、プレミアム・プラットフォーム・ジャパンだ。

 プレミアム・プラットフォーム・ジャパンは月額1017円(税込み)の定額制動画配信サービスParaviを展開する。テレビ番組の再放送が主なコンテンツ。創業は2017年と新しい企業だ。創業から3年目に入った20年、新型コロナウイルス感染症が世界を襲った。その影響で外出自粛などが広がり、消費者が自宅で過ごす時間は大きく増加。それに伴い、動画配信サービスの需要が急速に高まった。博報堂DYメディアパートナーズ(東京・港)の「メディア定点調査」によれば、21年は定額制動画配信サービスの利用は20年から9.7ポイント上昇して46.6%となっている。

 プレミアム・プラットフォーム・ジャパンはこれを商機と捉え、広告のプランニングの見直しを決めた。「テレビCMも定期的には放送していたものの、効率性重視でデジタル広告を活用した刈り取り型のマーケティングが中心だった。ただ、新型コロナウイルス感染症拡大以降、需要が高まっている。マスとデジタルを一体化させたプランニングで、より効率的な広告予算配分を実現すべきだと考えた」。プレミアム・プラットフォーム・ジャパン サービスプロモーション局の舩曵慧美氏は狙いをこう語る。既にブランドを認知している層や、動画配信サービスの利用意向が顕在化している層を狙い撃ちできる検索連動型広告やリターゲティング広告は効率性が高い。

刈り取り偏重のマーケティングに限界

 一方で、刈り取り偏重のマーケティングだけではいずれ頭打ちになる。そうしたデジタルマーケティングの限界を舩曵氏も感じ取っていた。これを避けるためには、ブランド認知を高める広告で見込み顧客を創出し、刈り取り型の広告を当てるといったサイクルをつくり出すことが重要だ。

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