SNSの巨人フェイスブックが次の市場として狙う「メタバース」。様々な大手IT企業も言及し、巨大なうねりとなりつつある。仮想世界で多くの人が過ごす未来は現実になるのか、メタバースは生活やビジネスをどのように変えるのか――。元gumi会長で、VRゲームを手掛けるThirdverse(サードバース、東京・千代田)のCEO(最高経営責任者)に就任した國光宏尚氏に未来を聞いた。
自分の分身、アバター「As(アズ)」となり、50億人以上が集まるインターネット上の仮想世界<U(ユー)>でリアル世界とは全く異なる人生を生きる――。21年夏公開の細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』で描かれている世界は、遠い未来の話ではない。この世界を実現すべく、多数の企業が動き出している。
「メタバース企業」を目指して、巨額の投資を行うのが米フェイスブックだ。同社のマーク・ザッカーバーグCEOは、2021年7月の決算説明会に加え、インタビューなどでもメタバースについて熱を込めて語っており、ソーシャルネットワーク企業からメタバース企業への変革を加速させている。マイクロソフトやNVIDIAといったIT関連業界の巨人のトップらも、メタバースについて公の場で言及しており、一躍、トレンドワードとなっている。
メタバースとは、メタ(超越した)とユニバース(世界)を融合させた造語で、ネット上に構成された仮想の3次元空間を指す。仮想空間というと、VR(仮想現実)ゴーグルをかぶって入るイメージを持つ人も多いだろうが、その空間内で多数の人間がアバターなどを通じて自由に行動し、交流する状態を含めて、メタバースと呼ぶ場合が多い。まさに、冒頭の『竜とそばかすの姫』で描かれた世界だ。
メタバースという概念自体は、古くからある。06~07年にブームとなった「セカンドライフ」はこのメタバースの先駆事例。また、マイクロソフトの傘下企業が手掛ける「マインクラフト」も、仮想空間内で自在に建造物などをつくり、複数の人が活動するという点ではそうだ。「フォートナイト」(Epic Games)や「あつまれ どうぶつの森」(任天堂)もまた、メタバース世界の一つということができる。
インターネットを置き換える“新たな場”が生まれる
ではなぜ今、再びこの言葉が脚光を浴び、そして多くの企業がこの世界を目指し始めたのか。それは、インターネットを大幅に“更新する”可能性が高いからだ。
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