コロナ禍で収益が低下し、危機に瀕(ひん)するスポーツ産業。収益源の多角化が必須であり、注目を集めるのが「スポーツベッティング」、すなわちスポーツの賭けだ。本家の英国に続いて、米国でも合法化が始まり、スポーツ産業への収益還元が進む。そんな中、日本でも合法化後を見据え、既に準備を進めている企業がある。企業にどのようなチャンスがあるのか、未来のビジネスに迫った。

コロナ禍で様々な産業が影響を受け続けている。スポーツ産業もその一つ。無観客もしくは人数を絞っての開催が続く中、新たな収益源を模索する動きが目立ち始めた(画像/Shutterstock)
コロナ禍で様々な産業が影響を受け続けている。スポーツ産業もその一つ。無観客もしくは人数を絞っての開催が続く中、新たな収益源を模索する動きが目立ち始めた(画像/Shutterstock)

 今回の東京オリンピックでは、自宅から多くの人がライブ映像を視聴し、選手の活躍を見守った。東京オリンピックが無観客となったように、多くのスポーツリーグでも、無観客もしくは人数を制限しての開催が続き、コロナ禍の影響を色濃く受けている。感染拡大の影響で有観客化には賛否の声もあり、苦境はまだ続く。

 コロナ禍が本格化した2020年の世界全体のスポーツ市場規模は、当初の見込みから大幅に減少。国内においても、20年初めから6月末ごろまでの期間だけで、日本のプロスポーツ業界の間接的な消費も併せた経済的損失は、2700億円以上に上るという推計もある(関西大学の発表による)。

 そもそも、スポーツチームの主な収益源は、入場料、放映権料、グッズ販売、スポンサー収入の4つ。従来、スタジアムやイベントを充実させ、集客力を高めることで収益の最大化を図ってきたチームが多い中、コロナ禍でリアルイベントによる収益が消滅することはまさに死活問題だ。

 この逆風を受け、収益の多角化を目指す動きが加速している。コロナ禍による収益減の影響に加え、マイナースポーツでは、そもそも放映権やスポンサーによる収益がメジャースポーツに遠く及ばず、新たな収益源の確保は必至だった。メジャースポーツにおける下位リーグにおいても同様だ。

スポーツ先進国で合法化が進む「スポーツベッティング」

 そんな中、新たな収益源として注目度が高まっているキーワードがある。それが、「スポーツベッティング」だ。

 その名の通り、「スポーツの賭け」を意味する。スポーツベッティングの起源といわれる英国では、100年以上も前から存在するカルチャーであり、合法的にお金を賭けて多くの人が楽しむ。最近ではオンライン化が進み、気軽にスマホでベッティングができることから裾野が広がっている。

試合結果や展開を予想するスポーツベッティングが欧米で拡大中。スマホアプリで手軽に楽しむスタイルも一般化(画像/Shutterstock)
試合結果や展開を予想するスポーツベッティングが欧米で拡大中。スマホアプリで手軽に楽しむスタイルも一般化(画像/Shutterstock)

 英国の賭けのホストは、政府の許可を得たブックメーカーが担い、サッカーや野球、バスケットボール、テニス、アメフトなど、世界中の多様なスポーツを対象とした賭けを提供する。スポーツ振興くじの「toto」のように結果だけを予想するのではなく、多様な項目が賭けの対象になる。

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