飛行機だけではなく、徒歩や自転車、自動車、電車などの移動手段を自動判別し、“マイル”を付与するアプリ「Miles(マイルズ)」。運営する米コネクトIQラボは2021年8月、海外初進出となる日本でティザーサイトをオープンした。日経クロストレンドの取材で、21年9~10月にも日本で本格展開を始めることが分かった。コロナ禍により減少している移動需要を喚起する起爆剤となるか。

「Miles(マイルズ)」アプリをスマホに入れておくだけで、日々の移動距離に対して“マイル”が付与され、様々な特典(リワード)と交換できる
「Miles(マイルズ)」アプリをスマホに入れておくだけで、日々の移動距離に対して“マイル”が付与され、様々な特典(リワード)と交換できる

 日本への本格上陸に先駆け、米コネクトIQラボは2021年7月、スクラムベンチャーズを中心に、日本航空(JALイノベーションファンド)やあいおいニッセイ同和損害保険、米トランスリンクキャピタルなどからの1250万ドル(約13億7500万円)の資金調達を発表した。

 21年1月に設立された日本法人、Miles Japanでは、日本企業と世界のスタートアップの共創を進めるスクラムスタジオ社長の髙橋正巳氏が指揮を執る。同氏は、ソニーを経てウーバージャパン社長としてUber Eats(ウーバーイーツ)事業を推進し、その後、WeWork Japan(ウィーワークジャパン)で日本事業の立ち上げ、拡大を担った人物だ。

 18年から米国で展開されている「Miles(マイルズ)」アプリは、100万人以上の登録ユーザーを獲得してきた。“マイル”と交換する特典(リワード)を提供するパートナー企業は、ウォルマートやスターバックス、アマゾン・ドット・コム、フードデリバリーのドアダッシュなど、実に200以上の有名ブランドがそろう。

 これまでMilesのユーザーは累計40億マイル(約64億キロメートル)を移動し、120億マイルを獲得。そのうち35億マイルが700万件以上のリワードと交換された。「ユーザーは5000万ドル(約55億円)以上の節約に役立っており、リワードを提供するパートナー企業には2億ドル(約220億円)以上の収益をもたらしている」(コネクトIQラボCEOのJigar Shah氏)という。こうしたユーザーの移動を軸として巨大な経済効果を生む有力プラットフォームが、ついに本格上陸する。

 すでに日本では、21年2~3月にJR東日本やあいおいニッセイ同和損害保険と共同で「JREAD Miles」アプリの実証実験を行った実績がある。今回は共同展開ではなく、Milesアプリそのものの上陸だ。では、改めてMilesとはどんなサービスなのか。その革新性を解説していこう。

環境に優しい移動手段ほど多くマイル付与

 Milesのユーザーメリットは実に明快だ。スマホにアプリをダウンロードし、常時GPSの取得を許可する設定にしておけば、ユーザーの移動手段をAI(人工知能)が自動で判別し、それぞれに応じた“マイル”が勝手にたまっていく。マイルが一定数たまると、映画やレンタカーの割引チケット、コーヒーショップの無料チケット、ネット通販のギフトカードなど、用意されたリワードへの交換が可能となる。つまり、何気ない日常のあらゆる移動に“価値”を与えるアプリだ。

日本で公開されたMilesのティザーサイト
日本で公開されたMilesのティザーサイト
関連リンク(クリックで別ページへ):
Miles | すべての移動に、マイルを

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