マーケティング学習アプリ「コラーニング」を展開するコラーニング(東京・品川)は2021年7月12日、社名とサービスをグロース Xへと変更した。日清食品、サンスターグループ、NTTドコモなどの大手企業が導入するマーケター向けの学習アプリを展開してきた同社。社名変更後はオンライン講座にとどまらない、マーケター育成のプラットフォーム開発へとかじを切る。マーケティングやサービスを強化し、22年に現在の利用者数の10倍となる5万人の利用者獲得を狙う。
「コラーニングという社名とサービス名は『eラーニング』を強く想起させる。今後、ナレッジマネジメントなども含め、中長期的にグロース(事業成長)という企業の目的を達成できる人材育成支援サービスを目指すためにもリブランディングを決めた」。グロース Xの津下本耕太郎社長は社名変更の理由をこう説明する。創業からわずか1年での社名変更だ。
20年8月の会社設立後、同社のマーケター向けオンライン学習アプリは大手企業を中心に導入が進み、約150社、約5000人が受講するサービスへと成長している。今後、事業領域をeラーニングから拡大する開発ロードマップに合わせて、社名とサービス名の変更に踏み切った。
グロース Xのサービスの核となる学習アプリは、12カ月で約50時間のカリキュラムを受けることで、マーケティングとデジタルマーケティングの知識を網羅的に学べるもの。津下本氏が起業前の実体験で感じていたマーケティング業界に対する課題を基に開発された。同氏はソーシャルメディア活用支援会社アライドアーキテクツの取締役として、さまざまな企業のソーシャルメディア活用を支えてきた。その業務の中で「マーケティング業界は人材がボトルネックになっている」と常々感じていたという。
組織、知識のサイロ化で一貫した顧客体験をつくれない
広告主サイドではソーシャルメディアや広告でも、設計から広告代理店に丸投げする企業が多かった。また、日本はゼネラリスト志向が強く、異動などで担当者が変わりがちな点もマーケターが育ちにくい要因となる。一方で、広告代理店やマーケティング支援会社もデジタルマーケティングの台頭で細分化が進む。そうした専業支援会社ではソーシャルメディアや運用型広告など、知識が特定領域に偏りがちだ。
デジタル化で顧客との接点が可視化しやすい時代だからこそ、「ブランドとの最初の接点から継続的な関係構築まで、(マーケティングファネル全体が)バケツリレーのようにつながるブランド体験を提供すべきだが、マーケティングの組織も知識もサイロ化している」と津下本氏は指摘する。
マーケティング全般の知識を持ち、コミュニケーションの全体像の指揮を執れる人材が広告主、支援会社共に不足していることが、日本のマーケティング進化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の阻害要因になっているという強い課題意識を持っていた。これが起業のきっかけだ。
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