伊勢神宮までは車で20分ほどの距離にある三重県多気町。ここに2021年7月20日、東京ドーム24個分の広大な敷地を有するリゾート型複合商業施設「VISON(ヴィソン)」がグランドオープンした。食と癒やしをテーマに、産直市場や有名パティシエとシェフが手がける飲食店、温浴施設、ホテルなど73店舗がそろう。内閣府が進めるスーパーシティ構想にも名乗りを上げたユニークなプロジェクトは、疲弊する地方都市の再生と循環型社会への挑戦でもある。

山の斜面に立つホテルヴィソン側から望む施設の全景。開発面積だけで54ヘクタールという広大な規模を誇る。スマートインターチェンジに直結
山の斜面に立つホテルヴィソン側から望む施設の全景。開発面積だけで54ヘクタールという広大な規模を誇る。スマートインターチェンジに直結

コンセプトは「和食文化の発信」と「SDGs」

 三重県中南部に位置する多気町は、松阪牛で有名な松阪市に隣接し、古くはお伊勢参りの際に通過する交通の要所として発展してきた。現在も伊勢志摩や熊野古道など、人気観光地をつなぐ三重観光の拠点である。さらに今回の「ヴィソン」開業に併せて、伊勢自動車道のスマートインターチェンジが開通し、民間施設としては全国で初めて同施設と直結。ますますアクセス至便なロケーションとなった。

 しかし、これまでは利便性の高さが逆に地域経済を低迷させる要因の1つになっていた。人気観光地の近くにありながら日帰り客が多く、若い世代は名古屋や大阪などの大都市へ流出してしまう。そうした多くの地方都市が抱える社会問題を多気町でも長年抱えてきた。

 地域課題の解決を目指し、ヴィソンプロジェクトが動き出したのは今から8年前の2013年。多気町の久保行央町長が、ヴィソンの開発運営会社であるヴィソン多気(三重県多気町)の立花哲也社長に「薬草と地元の農産物を使った施設をつくれないか」と相談したのがきっかけだ。当時、立花社長は、三重県菰野町に癒やしと食をテーマにした複合温泉リゾート施設「アクアイグニス」を開業し、話題を集めていた。

 ヴィソン多気は、アクアイグニス(東京・中央)とイオンタウン(千葉市)、不動産ファンド運用のファーストブラザーズ、ロート製薬の4社からなる共同出資会社で、アクアイグニスのノウハウをベースにヴィソンを開発。約119ヘクタールというケタ違いに広大な土地を生かし、従来の商業施設開発とは一線を画した斬新な試みに挑戦している。

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