ロゴやWebサイトを一新し、製品の位置付けやターゲット、プロモーション戦略を組み立て直す。マーケターとしての実力が問われる「ブランド刷新」にはどう挑むべきか。責任者としてサービス刷新に臨んだ、博報堂出身のマーケターの事例をもとに、リブランディングの手法を見ていこう。
情報通信機器の販売や保守を手掛けるスターティアホールディングス(HD)がここ数年強化してきたのは、マーケティングオートメーション(MA)、Webサイト構築、データベース、AR(拡張現実)などのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)だ。これらデジタルマーケ関連サービスを総称してCloud CIRCUS(クラウドサーカス)と呼ぶ。同社は2005年からマーケティング支援ツールを提供し、現在は子会社のクラウドサーカス(東京・新宿)が展開している。
「いまだ知られぬという状態が続く“隠れSaaS企業”だった」。スターティアHDのマーケティング室長でクラウドサーカスのマーケティンググループ責任者を兼任する石田拓己氏は、20年4月に入社した当時の印象をそう表現する。同氏は大学院修了後に博報堂へ入社。マツダ、DMM.com(東京・港)など多彩な企業のマーケティングに携わってきた。そうした経験を生かし、マーケターとして“隠れSaaS企業”を返上する、という仕事に大きなやりがいを感じたという。
スターティアHDはSaaSに注力し、そのマーケティングでも大規模な投資をしていくという方針を固めたところだった。その責任者として石田氏を迎え入れたことになる。20年5月公表の中期経営計画ではデジタルマーケ関連のSaaS事業を年率30%で成長させ、25年に48億円のARR(年間経常収益)を目指すという方針を示している。今後の5年で「マーケティング投資額は数十億円になる」(石田氏)見通しだ。
まず全体ブランドの「傘」を訴求
市場調査と並行しつつ、議論を進めながらプロダクト群を整理してみると、それぞれのツールに魅力はあるものの、ブランドファミリーとしての「分かりにくさ」と「傘となる全体ブランドの弱さ」が課題であることが見えてきた。
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