ローソンストア100(東京・品川)は、2021年7月7日から新たなストアコンセプト「献立応援コンビニへ。」を打ち出した。店内放送やPOPなどで食材の調理方法を提案していくほか、ニーズに応じて店内陳列商品も見直し、100円均一商品の割合も減らす。ローソンストア100の“脱100均化”の裏側では何が起きているのか。

(写真提供/ローソンストア100)
(写真提供/ローソンストア100)

 「50メートル先にスーパーマーケットとローソンストア100があったら、最初にスーパーのほうに行く。それは偽らざる消費者心理だと思うが、ローソンストア100は小型店として、スーパーよりも商品を絞り込んだ形でアピールしていきたい」。ローソンストア100の佐藤隆史社長はそう語る。陳列商品の多さや価格の安さで勝るスーパーと、いかに差異化していくのか。同社が打ち出す新ストアコンセプトとともにひもといていく。

ローソンストア100の佐藤隆史社長。同社のストアコンセプト刷新の狙いを語る
ローソンストア100の佐藤隆史社長。同社のストアコンセプト刷新の狙いを語る

 同社は2008年から「スーパーの品ぞろえ」「コンビニの利便性」「100円均一の分かりやすさ」という3つの業態のいいとこ取りをコンセプトとして掲げてきた。99円均一ショップ「SHOP99」を前身に持ち、従来からコンビニの業態でありながら、野菜や果物といった生鮮食品や冷凍食品などもそろえていった経緯がある。

 そんなローソンストア100のミニスーパー化に拍車がかかりそうだ。21年7月7日から、「献立応援コンビニへ。」というコンセプトを新たに打ち出した。食料品の品ぞろえの幅を広げ、まとめ買いを意識してファミリーサイズや複数個入りのマルチパック商品の展開を拡大。“脱100均化”を進めていく考えだ。

 背景には、消費者の内食需要がある。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、外食を控え、買い物を短時間で済ませる消費者が増えている。そうした変化の中では、買いだめできる大容量商品が求められるようになる。野菜や肉など従来扱ってきた生鮮食品も、容量が増えれば100円の価格に収まりきらない。「毎日の食生活に必要なものをそろえ、来店したときに『食卓に出せるようなものがない』ということにはならないようにしたい。結果として100円以外の商品が増えた」(佐藤社長)

ローソンマート撤退の教訓

 同社には、過去にもミニスーパーにかじを切った経歴がある。14年2月、小型スーパー「ローソンマート」の1号店を横浜市にオープンし、小型スーパー事業に参入。一般的な食品スーパーの2割程度の売り場面積に、生鮮食品や日用品など5000~6000品目をそろえた。だが翌年、15年に同事業から撤退した。「コンセプトは良かったが、誰を戦略ターゲットとして、どういう価格帯で商品展開していくかという点が抜けてしまい、商品価格が一気に定価に上がった印象だった」と佐藤社長は分析する。

 当初目指していたのは、進化型のコンビニエンスストアでローソンとローソンストア100を融合した形だった。生鮮食品はローソンストア100の品ぞろえをベースとする一方、厨房で調理した弁当やトレンド商品は定価でそろえた。その結果、そうした定価商品のイメージに引っ張られ、消費者には割高で買い求めづらい印象を与えることとなった。

 その教訓として、今回のコンセプト刷新では消費者の内食需要に応じた商品展開を重視。100円均一では品ぞろえできない商品を補完するイメージで、消費者の選択肢を増やす方向という。従来8割を占めていた100円均一商品は、現在6割に減っている。そこからさらに、5割程度にまで減らす可能性がある。「スーパーに行くのに不満がない消費者まで取り込もうというわけではない。スーパーでの買い物では時間がかかる、広くて商品を選びきれないと考えている消費者には、近所のコンビニサイズの店で十分に食材がそろうと気づいてもらえれば通ってもらえるのではないか」(佐藤社長)

内食需要を取り込むべく、マルチパックの商品や冷凍食品の展開に注力する
内食需要を取り込むべく、マルチパックの商品や冷凍食品の展開に注力する

 一方で、「100円均一商品はキーバリューとして顧客に認識されている」と佐藤社長は語る。例えば、同社の「100円おせち」は、20年には38種類、230万個を売り上げている名物商品。そうした商品は100円均一商品として残していくことで既存のファンものがさない戦略だ。「消費者からの支持が高くて圧倒的なブランド価値がある商品はシリーズとして残していきたい」(佐藤社長)。こうして、内食需要と100均ニーズのどちらにも訴求していくわけだ。

「100円おせち」は、2020年には38種類、230万個を売り上げている名物商品。こうした商品を「目玉」に100円均一商品として残していくことで、既存ファンをのがさない(写真提供/ローソンストア100)
「100円おせち」は、2020年には38種類、230万個を売り上げている名物商品。こうした商品を「目玉」に100円均一商品として残していくことで、既存ファンをのがさない(写真提供/ローソンストア100)

コンビニのサイズ感生かして献立提案

 ミニスーパーと差異化するため、コンビニならではのサイズ感も生かす。売り場面積が小さいことで、店舗を活用して消費者とのコミュニケーションを取りやすいからだ。今回のコンセプト刷新に合わせて商品展開を変えていくほか、商品のPOPに献立活用の方法を載せる。例えば、ホウレンソウのPOPには「そのまま鍋に入れて味噌汁に。レンジでチンしておひたしにも!」などといった具合だ。

 そうした情報は店内放送でも流す。献立を考えるのに苦労する主婦などの来店客に役立つ情報を届けて、購買を後押しする仕組みだ。「どこを歩いても必ず何かが目に触れる店のサイズ感だからこそ、『献立のイメージを膨らませながら買い物してください』といった商売ができる」(佐藤社長)

新ストアコンセプトを訴求する内観(写真上)。商品のPOPには、商品情報だけでなく料理への活用方法も記載(写真下)。主婦などの来店客が献立を考える際の参考になる情報を届ける(写真提供/ローソンストア100)
新ストアコンセプトを訴求する内観(写真上)。商品のPOPには、商品情報だけでなく料理への活用方法も記載(写真下)。主婦などの来店客が献立を考える際の参考になる情報を届ける(写真提供/ローソンストア100)

 「ローソンストア100の最終的な店のあり方は、物を売る小売業ではなく、サービス業というイメージ。売り物と、そこで働くスタッフが消費者のハートをつかんで、ローソンストア100に行けば旬の食材を提案してもらえるという信頼関係が重要になってくる」と佐藤社長。コンビニの規模で、あらゆる工夫をしながら消費者のニーズを満たしていくことが、ローソンストア100のテーマだ。

(写真/古立康三)

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