JR東日本やトヨタ自動車の子会社であるウーブン・プラネット・ホールディングスなど、日本の大手企業13社が参画し、世界のスタートアップとの事業共創を進める「スマートシティX」。主催するスクラムベンチャーズは2021年6月23日、先行する6件のプロジェクトを発表した。生活者視点のスマートシティを具体化する斬新なアイデアとは?

身近な生活シーンを変える6つの新サービス構想が生まれた
身近な生活シーンを変える6つの新サービス構想が生まれた

 スマートシティXは2020年8月にスタートしたオープンイノベーションプログラムだ。日本のパートナー企業としては、JR東日本やウーブン・プラネット・ホールディングスの他、あいおいニッセイ同和損害保険、出光興産、積水化学工業、NTT西日本、日本ユニシス、博報堂といった様々な業界から有力企業が名を連ねる。サポーター企業も味の素、ジェーシービー、スズキ、ディー・エヌ・エー、ライオンと多彩だ。これまで世界20カ国・地域から95社のスタートアップを採択し、各日本企業との事業共創を進めてきた。

スマートシティXは主要なパートナー企業の他、三重県や東京都渋谷区なども実証フィールドを提供する
スマートシティXは主要なパートナー企業の他、三重県や東京都渋谷区なども実証フィールドを提供する

 約1年が経ち、具体的な成果として立ち上がった6つのプロジェクトは、「予防医療」「公衆衛生」「防災」「事故防止」「スポーツ観戦」「マイレージプログラム」がキーワード。いずれも大企業とスタートアップがコラボし、生活者目線で都市をアップデートする新サービスの社会実装を目指す。では、どんな取り組みが生まれたのか。

パートナー企業のうち、あいおいニッセイ同和損害保険は最多4つのプロジェクトに関わる
パートナー企業のうち、あいおいニッセイ同和損害保険は最多4つのプロジェクトに関わる

出光興産が「移動型脳ドック」を展開

 例えば出光興産は、三重県東員町を舞台にし、三重県と予防医療のデジタル化事業を展開するスマートスキャン(東京・中央)と組んで21年6月14日~7月2日の期間で実証実験を進めている。MRI(磁気共鳴画像装置)を載せたトレーラーを使い、脳ドックを受診可能な移動型クリニックを展開している。

 狙いは、利用者が遠方の病院に行くことなく、自宅周辺で検診を受けられるようにし、脳疾患の効果的な予防に役立てることだ。移動時間を短縮できるだけではなく、オンラインで事前に予約・問診を済ませることで検査時間の短縮にもつながる。実証実験では当初用意した400枠がすぐに埋まってしまうほど好評を博しているという。

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