モンスターや薬草など、RPG(ロールプレーイングゲーム)に出てくる“食材”を味わえるVRイベント「RPGレストラン」が、2021年6月18日~20日に開かれた。食という身近なジャンルを通して、VRを多くの人に体験してもらう狙いがある。100枚ほどの前売りチケットもわずか3分で完売したという。一体どんな食事を楽しむことができるのか。新機軸レストランの扉をたたいてみた。
「トカゲの餃子(ぎょうざ)、羽根付きで」
都内某所に開店したRPGレストランへの入店前、受付に立つ店員に謎の合言葉を告げる。そして、差し出された「転生書」に名前を書くと、秘密の入り口のありかを伝えられ、初めて入店が許される。店内は薄暗く、まさしく異世界の趣。ワインレッドのテーブルクロスがかけられたダイニングテーブルの中央で揺らめく、ろうそくの光がRPGの世界観をなおさら演出する――。
2021年6月18日~20日、3日間限定でRPGレストランが開かれた。客がVRゴーグルを装着し、そこに映し出されるRPGの世界観を楽しみながら、ドラゴン、スライム、薬草などの食材を味わうイベント(1人3000円・税込み)だ。用意した約100枚の前売りチケットは3分で完売するほどの反響があった。
主催したPsychic VR Lab(東京・新宿、サイキックVRラボ)プロデューサーの浅見和彦氏は、「VRはそれ単独で特別なものというイメージがあるが、あくまでユーザーに体験やストーリーを届ける手段。日常の中にVRを溶け込ませていく活動の一環として取り組んだ」と語る。同社は、これまでもVR体験ツアープログラム「ULTRA TOUR」を手掛けてきた。では、新たな試みである「VR×食」で生まれる体験価値とはどんなものか、実際に体験してみた。
ルール説明も雰囲気抜群
VRによる没入感は、食事をする前から堪能できる。VRレストランへの入店後、席に着くと、黒ローブを身にまとい魔術師に扮(ふん)したスタッフがVRゴーグルをセットしてくれる。すると、目の前に見えてくる景色は、レストランから一変する。いつの間にか神殿を彷彿(ほうふつ)とさせる建物の中にいる。天井も高く、ステンドグラスもあしらわれており、RPGらしい雰囲気は抜群だ。自身の姿も、勇者へと変わっている。そのVR空間に、魔法使いなどのキャラクターに扮した他の参加者も集められ、レストランの支配人から食事のルールの説明を受けるという流れだ。
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