世界最大規模の動画配信サービス・Netflixが、セレクトショップのビームス(東京・渋谷)とコラボ。ロゴ入りのアパレルや生活雑貨を発売した。ECサイトを通じ、世界で展開する。動画配信サービスであるNetflixが、なぜ自社ブランドの商品を販売するのか。

Netflixはブランドのロゴ入りTシャツなどのオリジナルグッズを発売した。TシャツはS、M、L、XL、XXLの5サイズ展開で、税込み5280円
Netflixはブランドのロゴ入りTシャツなどのオリジナルグッズを発売した。TシャツはS、M、L、XL、XXLの5サイズ展開で、税込み5280円

 2021年5月27日に発売したのは、Netflixのブランドロゴをあしらったオリジナルグッズ13点。「Netflix × BEAMS」コレクションと名付け、ビームスのオンラインショップや一部店舗内のポップアップショップで販売している。Tシャツやナイロンパンツ、キャップといったアパレルのほか、コロナ禍で増えた在宅時間にリラックスして動画を楽しめるようなクッションや首を支えるネックピロー、膝の上に置くと簡易テーブルになるトレイといった生活雑貨もそろえた。自社のロゴを使った商品展開は、世界でも初めての試みとなる。

 オンラインショップでは、一部のアイテムが販売開始から数分で完売するほどの人気ぶりで、現在は次回入荷分の予約を受け付けている。「興味をもって手を伸ばしてくれる人がこれほどいることに驚いた。初速としては予想を超える反響があった」と、ネットフリックス(東京・港)広報の東菜緒氏も驚きを隠さない。

BEAMSのオンラインショップには、「Netflix × BEAMS」コレクションが並ぶ。販売開始数分で完売した商品もある
BEAMSのオンラインショップには、「Netflix × BEAMS」コレクションが並ぶ。販売開始数分で完売した商品もある

配信事業を支えるグッズ販売

 Netflixはこれまでにも、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』や『ウィッチャー』などオリジナル作品をモチーフにしたグッズなどを販売してきた。今回もNetflix × BEAMSコレクションと同時に、Netflixオリジナルアニメシリーズ『エデン』を題材にした「EDEN × BEAMS」も発売している。

「Netflix × BEAMS」コレクションと同時に発売した、Netflixオリジナルアニメシリーズ『エデン』が題材の「EDEN × BEAMS」コレクション
「Netflix × BEAMS」コレクションと同時に発売した、Netflixオリジナルアニメシリーズ『エデン』が題材の「EDEN × BEAMS」コレクション

 これら作品のグッズを企画するのは、作品やそのキャラクターのファンを増やすことが、Netflixの有料会員を増やすことに直結すると考えてきたからだ。オリジナルコンテンツには複数のシーズンにまたがって配信されるものもある。「視聴しているユーザーが作品自体のファンになることで、シーズンが終わり、次のシーズンが始まるまでの間にも、作品を身近に感じられる。作品が愛されることは、Netflixへの支持にもつながる」(東氏)

 一方で、近年はNetflixというブランド自体のアイデンティティーを押し出す取り組みも増やしてきた。東氏によると、「Netflix自体をそれぞれの国のカルチャーに根差したブランドとして浸透させることに重きを置くようになっている」という。

 その背景には、サービスの成長に伴う状況の変化もあるだろう。Netflixの有料会員数は20年末に世界で2億世帯を突破。日本でも同年8月末時点で500万世帯を超えている。ただ、会員数が多くなるほど、新規加入者数の伸びが鈍化するのは必然。そのため、サービス自体に愛着を持ち、長く契約してくれるファンを増やすことがより重要になる。

 そしてその姿勢は、昨今のプロモーション活動にも表れている。従来は、作品への興味を持ってもらうため、作品の宣伝を中心としたプロモーションを行ってきたが、20年9月からは「ひとりじゃない、世界がある。」をキャッチコピーにしたNetflixブランドの広告をグローバルで展開した。

「Netflix × BEAMS」コレクションではスウェットやクッション(左)、膝の上に置くと簡易テーブルになるトレイ(右)などもそろえる
「Netflix × BEAMS」コレクションではスウェットやクッション(左)、膝の上に置くと簡易テーブルになるトレイ(右)などもそろえる

 Netflixのロゴを前面に押し出したグッズを展開するのもその一環だ。加えて東氏は、オフサービス、つまりサービスを利用していないときに、消費者といかにして接点を持つかが重要との考えも示した。「(動画配信を核とするNetflixは)形のないサービスなので、Netflixを好きでいてくれている人たちにとっても『好きだ』とアピールできるものがない。手元にNetflixを感じられるものがあると、得られる満足感が違う。ブランドとのつながりを深めてもらうためにも欠かせない」(東氏)

 過去には、他の配信サービスに先駆けてテレビのリモコンに「Netflix」の専用ボタンを埋め込んだ同社。これは、ボタンを押せば即Netflixが起動するようにすることで、消費者との接点を増やし、その生活に自然と入り込むのが狙いだった。今回のNetflix × BEAMSコレクションもそれに近いアプローチ。ただし、グッズを介し、Netflixのブランド自体をファンに浸透させることに踏み込んだ点が従来とは異なる。

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