京都のコーヒー店「Kurasu Kyoto」(京都市下京区)は新型コロナウイルス感染症流行拡大の影響による営業自粛で、実店舗は一時売り上げが81%減となる大打撃を受けた。起死回生の一手となったのが、バリスタによるデジタルを通じた顧客とのコミュニケーションだ。YouTubeやInstagramを使い、バリスタがコーヒーのいれ方やレシピを紹介した。これがECサイトでの受注拡大に貢献。YouTube経由のECサイトの流入数は10倍になり、2020年は売り上げ全体に占めるECサイト経由の割合が8割に達した。

京都のコーヒー店「Kurasu Kyoto」
京都のコーヒー店「Kurasu Kyoto」

 2020年4月、Kurasu Kyotoは危機的状況に置かれていた。コロナ禍で京都の実店舗は営業自粛を余儀なくされた。同社が展開する3店舗の売り上げは、全体で81%減となる大打撃を受けた。店を開けられないことで、カフェのバリスタたちも手持ち無沙汰になってしまう。同社代表取締役の大槻洋三氏は「人員カットも頭をよぎった」と打ち明ける。

 そこで活路を見いだしたのがECサイトの強化だった。Kurasuは以前から、ECサイト構築プラットフォーム「Shopify」を活用して自社ECサイトを運営していた。商材は主にコーヒー豆や日本製のコーヒー器具だ。ECサイトで購入された商品を速やかに発送できる態勢は整っていた。大槻氏は「ECサイトの運用、構築は1日2日でできるようなものではない。既に土台があったのは大きなメリットだった」と振り返る。

 ただし、コロナ禍以前は、ECサイトでの売り上げの8割が海外経由だったという。日本製のコーヒー器具が海外人気を集めていたからだ。店舗が強みの同社にとって、ECサイトは越境を前提とした位置付けだったわけだ。ところがコロナ禍で店舗が開けられなくなり、国内でも販売の主戦場をデジタルに移す必要に迫られた。そこで大槻氏は、国内向けのオンライン販売強化を決意する。取り組んだのが、バリスタによるYouTubeやInstagramを活用したコミュニケーションだ。バリスタとのコミュニケーションは、喫茶店ならではの店舗の価値。店舗に立てずにいるバリスタたちに登場してもらうことで、活躍の機会を与えることにもつながる。

 コロナ禍で特に力を入れたのがYouTubeの活用だ。「コーヒーを抽出しているところやテクニック、取引先のコーヒー焙煎士(ばいせんし)へのインタビューなど、発信したいこと、発信できることはたくさんある。それを写真だけでなく、言葉として、コミュニケーションとして伝えるためのツールとしてYouTubeを選んだ」(大槻氏)

YouTubeの試行錯誤で得た秘訣

 Kurasuでは15年からYouTubeに動画を投稿してきたが、それまでの動画の主役はコーヒー器具だった。同社は日本製のコーヒー器具をECサイトで販売しており、海外からの需要が高い。海外からの需要に応えために、コーヒーを抽出している様子に英語字幕をつけた動画などを投稿していた。

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