Z世代の間でよく使われる「ぴえん」という言葉。それをテーマにした楽曲「ぴえんのうた」は、SNSやYouTube上で話題となった。これらの楽曲はなぜバズるのか。楽曲+αで価値を生み出すところにヒントがあった。

今ではすっかり定着した「ぴえん」という言葉。それを基に生まれたのが、針スピ子氏が歌う「ぴえんのうた」だ
今ではすっかり定着した「ぴえん」という言葉。それを基に生まれたのが、針スピ子氏が歌う「ぴえんのうた」だ
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 ちょっと悲しい、切ない、泣きたい。そんなときに使われる「ぴえん」という言葉。マイナビティーンズの「2019年ティーンが選ぶトレンドランキング(流行ったコトバ編)」や、マーケティング会社AMFの「JC・JK流行語大賞2019(コトバ部門)」で共に1位に輝いた流行語だ。

 ぴえん、ぴえん、切なくて泣いているときは――。

 そのぴえんを題材にした歌が、2020年2月にYouTubeチャンネル「◯◯のうた/Maru Maru no Uta」で公開された「ぴえんのうた」だ。目をうるうるさせた絵文字(英語ではPleading Face、ぴえんと併用されることが多い絵文字)を背景に、童謡風な曲調で「ぴえん」と繰り返されるその曲は、ネット上の口コミなどで広がりを見せ、21年5月末時点でYouTubeでは748万回以上視聴されている。

 視聴層は、10~20代前半、いわゆるZ世代が中心だ。楽曲制作者のSOUNDEVOTEE(さんでぼ)氏はBGM素材として使ってほしいとの思いで、楽曲をアップロードし始めたという。「多くの人にとって音楽はそのものよりも、何かコンテンツなどと結び付くことで価値が生まれると思っている。音楽以外のコンテンツを自身で作り出すことが難しかったが、さまざまな人に使ってもらうことで価値が生み出されている」とさんでぼ氏は考える。

 同チャンネルでは「◯◯のうたシリーズ」として、「あんたバカァ?のうた」や「思てたんとちがう!のうた」など、中毒性の高いキャッチーな楽曲がアップロードされている。そのほとんどがiTunes Storeなどで販売されるほか、SpotifyやLINE MUSICといった音楽ストリーミングサービスでも聞くことができる。ショートバージョンであれば、著作権フリーでダウンロードも可能だ。

冒頭5秒で印象を残す

 さんでぼ氏は◯◯のうたシリーズを作る上で、意識していることが2つあるという。1つ目は5秒で印象を残すこと。キャッチーな楽曲は、狙い通りゲーム実況やTikTokなどで使用されている。その多くが「5秒くらいのスポットで使われていたことに気付いた」とさんでぼ氏。5~10秒くらいで印象に残るよう、冒頭に曲のテーマでもあるインパクトのあるフレーズを使うのだ。

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