フリマアプリ大手のメルカリが、子会社としてメルコイン(東京・港)を立ち上げ、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)関連事業への参入を発表した。暗号資産ブームから遅れること数年。なぜ今なのか。そしてその理由は。取材から浮かび上がってきたのは、「NFT」というキーワードだ。メルカリ参入のニュースの裏にある真の目的に迫った。
「とうとう来た!」「なぜ今、後発で参入するのか」。2021年4月2日、フリマアプリ大手のメルカリが、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスを展開するための新会社「メルコイン」を設立すると発表。そのニュースを受け、SNS上では多くの投稿が流れた。
メルコインは暗号資産交換業者への新規登録を行い、メルカリでの売上金のビットコイン受け取り機能などを提供していく計画。また、グループで展開する決済サービス「メルペイ」でも、新たな決済や送金といった機能に加え、暗号資産の管理や資産運用といった機能を1つのウォレットで提供するサービスの開発を目指す。
交換業者への登録は目指すものの、bitFlyer(ビットフライヤー、東京・港)やコインチェック(東京・渋谷)などのように、暗号資産の取引機能を追求するわけではない。「交換所・取引所としての収益を追うのではなく、売上金の利活用の幅を広げてお金の流れをなめらかにし、メルカリグループの各サービスにおける体験の向上を図る」と、メルコイン取締役の伏見慎剛氏は狙いを語る。「暗号資産は、従来は値上がりを狙う投機的なイメージが目立っていたが、決済手段としての活用など、今後さらに利用シーンが広がっていく可能性がある。メルペイはメルカリを利用する人の“お財布”のようなものであり、キャッシュレスに加えて暗号資産にも対応していくことが必要になる」と、メルコインの中村奎太氏は話す。
メルカリの参入で、暗号資産の裾野が広がる可能性はある。現状、交換業者は国内大手でも口座数が100万件程度にとどまる。一方、メルカリは本人確認済みのアカウントだけでも800万を超える。さらに、多くの売上金が各利用者の“財布”に日々入ってくるとすれば、「暗号資産の利用者の桁を1つ上げられる可能性がある」(伏見氏)というのだ。
本命は売上金の“ビットコイン受け取り”ではない
今回のメルカリによる暗号資産業界への新規参入のニュース。売上金のビットコイン受け取りなどが話題になる中、実はメルカリの本命は他にある。そのヒントが、リリースにあるこの1文だ。
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