複合商業施設「鹿猿狐ビルヂング」を奈良市内に2021年4月にオープンした中川政七商店(奈良市)。工芸品などを扱う同社がなぜ、商業施設を造ったのか。狙いを代表取締役会長の中川政七氏に聞いた。産地に人を呼び込む「産業観光」を実践する場にしたいという。
鹿猿狐ビルヂングは、近鉄奈良駅から歩いて数分の場所に完成した地上3階建てビル。1、2階には「中川政七商店 奈良本店」が入る。店内には限定商品など、オリジナル商品約3000点が並ぶ。スペシャルティコーヒーの「猿田彦珈琲」や、東京・代々木上原にあるレストラン「sio」が手掛けるすき焼きレストラン「㐂つね(きつね)」も出店した。この2店舗は、奈良を盛り上げたいと考える中川政七商店の代表取締役会長、中川政七氏が直接口説いたという。
ビルの設計は、建築家の内藤廣氏が担当。大きなガラス窓と瓦屋根が特徴的な建物内は、エントランスから中庭に向けて路地のような通路が広がる。路地裏を歩くような体験を創出し、周囲の街並みとの調和を図っている。
中川政七商店の歴史が集結
中庭の先につながるのは、鹿猿狐ビルヂング開業に合わせて、中川政七商店 奈良本店の一部としてリニューアルした「旧 遊中川 本店」や、和菓子や茶を提供する「茶論 奈良町店」だ。茶論 奈良町店には、濃茶ラテなどを気軽にテークアウトできるスタンドも設けた。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。