2021年4月、台湾の大学生の約9割が利用するといわれる“大学生向け”匿名SNS「Dcard」の日本版「Dtto(ディット)」が本格展開を開始した。SNSとはいうものの掲示板形式で、さらに匿名性なのが特徴だ。一見するとTwitterやInstagramよりも古いイメージに思える。だが、台湾を中心に世界で月間1600万のユニークユーザーを抱える人気ぶり。現地企業も続々とコラボに乗り出している。謎のSNSが人気を集める理由に迫った。

台湾発の大学生向けSNS「Dcard」の日本版「Dtto(ディット)」が2021年4月に本格展開を開始。コロナ禍でリアルコミュニケーションが取りにくくなる中、“オンラインキャンパス”として打ち出す
台湾発の大学生向けSNS「Dcard」の日本版「Dtto(ディット)」が2021年4月に本格展開を開始。コロナ禍でリアルコミュニケーションが取りにくくなる中、“オンラインキャンパス”として打ち出す

 台湾で誕生し、台湾の大学生の約9割が登録しているという驚異のSNSがある。ベンチャーのDcard Taiwanが展開するSNS「Dcard」だ。

 大学生向けのサービスであり、所属大学発行のメールアドレスか学生証での認証が必要になるのが特徴。さらに、面白いのは、掲示板形式を採用していることだ。

 「グルメ」「ファッション」「学生生活」など、さまざまなジャンルの掲示板が用意され、学生同士で気軽に情報交換ができる。さらに、大学ごとの専用掲示板も用意。授業やサークルに関する情報を同大学の仲間と共有しやすい。SNSとうたってはいるが、掲示板が主軸のサービスで、TwitterやFacebook、Instagramといった大手SNSとは一線を画す。また、24時間ごとに1枚だけプロフィルが書かれたカードを引けて、互いが承認するとやりとりができる「一日一会」と呼ぶマッチング機能もあり、偶然の出会いが楽しめると人気だ。

日本版アプリでは、質問や情報の共有の投稿に加え、投票機能なども備える。誰でも内容を読むことはできるが、登録者のみ投稿が可能。5月中旬の時点で、Dttoに書き込むための認証を受けられるのは、東京大学や慶應義塾大学、早稲田大学など東京都内を中心にした12大学のみ(順次拡大予定)
日本版アプリでは、質問や情報の共有の投稿に加え、投票機能なども備える。誰でも内容を読むことはできるが、登録者のみ投稿が可能。5月中旬の時点で、Dttoに書き込むための認証を受けられるのは、東京大学や慶應義塾大学、早稲田大学など東京都内を中心にした12大学のみ(順次拡大予定)

 同サービスは、運営するDcard Taiwanの創業者でCEO(最高経営責任者)の林裕欽(Yu-Chin Lin)氏が、友達をつくる機会が不足していると感じ、台湾大学在学中の2011年に試しにつくってみたのがきっかけ。15年に企業として正式にローンチを果たした。「Instagram、Twitter、Facebookといった既存のSNSでは、個々人がコミュニケーションを取ることはできても、共通の話題を討論したり、話し合ったりする場がなく、仲間を探しにくかった」(林氏)という。当初は、台湾大学と政治大学の学生を中心に使用されていたが、その後、他大学にも広まっていき、今ではほとんどの大学の学生が参加。18年には香港でも展開を開始し、今では世界で1600万の月間ユニークユーザーを抱えるまでに成長している。

Dcard Taiwanの創業者でCEOの林裕欽氏
Dcard Taiwanの創業者でCEOの林裕欽氏

なぜ、今さらインターネット掲示板に大学生が集まるのか

 なぜDcardはこれほど多くの大学生を引きつけるのか。

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