コロナ禍で沖縄への観光客が激減し、苦境に立たされたオリオンビール(沖縄県豊見城市)は2020年4月からSNS施策を強化。ハッシュタグ「#エア沖縄」「#沖縄気分」で、沖縄ファンの琴線に触れる情報を提供、公式Twitterのフォロワー数を10万超に増やした。「5月8日→ゴーヤーの日」など刺さるワードをいかに分析するかが秘訣という。

オリオンビールでは2020年4月からSNS活用を強化している
オリオンビールでは2020年4月からSNS活用を強化している

 「オリオンビールとチャンプルー」「夫婦でエア沖縄ごっこ楽しかった」。タイムラインには沖縄料理やビーチなどの風景、白地に青文字で「Orion」と書かれたアルミ缶の写真が並ぶ。オリオンビールは、バーチャルで沖縄を感じられるような「#エア沖縄」「#沖縄気分」のTwitter投稿を20年4月に開始した。プレゼントのキャンペーンと組み合わせて、オリオンビールの写真付きの投稿を促す。

 オリオンビールは沖縄への観光旅行の象徴でもある。コロナ禍前の2019年には、観光客がオリオンビールを持ったり商品名のロゴ入りTシャツを着たりして「沖縄来ました!」とアップした投稿が30万件に上っている。県外の沖縄ファンに向け「沖縄ならではのビーチの画像や、今日の天気など、沖縄の様子を伝える内容を積極的に投稿した」と話すのはオリオンビールのSNSマーケティングを支援するホットリンクの石塚悠悟執行役員だ。

 沖縄好きにオリオンビールのファンは多い。人気の観光地、沖縄に行きたくても行けない状況が続く中、「#エア沖縄」「#沖縄気分」の投稿に触発された沖縄好きのユーザーたちは次々と投稿をシェアしたり、コメントを寄せたりと話題は自然に広がった。

 SNSの施策により、投稿の数はコロナ禍前の30万件を超え、16年8月の開始後、20年4月に5000人だった公式Twitterのフォロワー数が12月には7万5000人に達した。現在は10万3000人と20年4月の20倍超となっている。

フォロワー数は目標ではない

 新型コロナウイルスの感染症拡大により、沖縄県の20年度(20年4月~21年3月)の入域観光客数は前年度比72.7%減の258万3600人と本土復帰後最大の落ち込みとなった。緊急事態宣言の発令で飲食店の休業も相次いだ。県内でビール類の販売数量シェアが44%(20年3月期)であるオリオンビールは20年に大きな影響を受けた。

 「県内の売り上げの5割が飲食店。観光客が減って大打撃だった」と語るのは、マーケティング本部マーケティングコミュニケーション・EC部長の上符裕一氏だ。リアルの接点がつくれないとなれば、デジタルマーケティングの強化をと、社内では早急に態勢づくりに入ったという。

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